言葉で「了承」しても顔で「怒る」なら部下はダブルバインドに陥る

 部下に「良いよ」と言っているのに、萎縮してまごついていることはありませんか?もしかすると貴方の表情や声のトーン、それから話し方は、これらプラスのメッセージを打ち消す「ダブルバインド」の状態を作っているかもしれません。人は言葉に付随するメタメッセージを重視するからです。

承認の言葉を伝えてるはずが部下が萎縮する…


 自分はプラスのメッセージや、了承のメッセージを部下に伝えているはずなのに、部下が萎縮している。

 そう感じることはありませんか?

例1:

(部下)「この案件は◯◯日までに仕上げようと思っているんですが…」

(あなた)「うーん。いいんじゃない。」

(部下の心)「ドギマギ…本当に良いと思ってくれてるんだろうか」
例2:

(部下)「定時で帰りたいんですが…」

(あなた)「良いよ。ただし仕事はちゃんとやってね」

(部下の心)「やべ。なんか地雷踏んじゃったかも…」
 なぜ部下の心は貴方が意見を承認しているのに、萎縮して否定されていると感じるのでしょうか?

部下をダブルバインドに追い込んでないか?


 もしあなたがプラスのメッセージを発しているのに、部下が萎縮しているならば、貴方は部下をダブルバインド(Double bind)の状態に陥らせている可能性があります。

 ダブルバインド(二重拘束:Double bind)とは、メッセージを送られる側の人間が、メッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーションにおかれると、メタメッセージを重視する傾向を持つ心理のことです。

 メッセージとは言葉そのもの、メタメッセージとは、言葉のニュアンスや声のトーン、メッセージを伝える側の表情、話すスピードの速さなど、メッセージを発する側の様子を指します。

 「いいよ」と言っているのに、
  • 声のトーンが威圧的
  • 表情が無表情だったり険しい
  • 早口で突き放す印象を持たせる
 という雰囲気があると、部下は「やってもやらなくても怒られるかもしれない」という心理状態に陥りやすくなるのです。

メッセージの発し方について他人の客観的な意見を聞いてみよう


 幾ら的確なメッセージを伝えているつもりでも、プラスの言葉を発しているつもりでも、そこに付随する副次的なメタメッセージがマイナスなものなら、人はそのマイナスなメタメッセージを重視します。

 もしもメッセージの発し方に難があると感じているなら、メッセージを発する時の「自分の状態」を鏡で見てみたり、メッセージの発し方について他人に客観的な意見をもらい、メタメッセージの伝え方を修正する必要があります。

 柔らかい態度で、できるだけゆっくりとした語り口で、自然な笑顔で、相手にメッセージを発する練習をすることで、部下にメッセージを的確に伝えることを心がけましょう。

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