春の花見は、秋の収穫の予祝。起業後の結果も起業前の予祝で変わる。

 春の花見は秋の農作を先に感謝するために行なわれる行事です。この考え方は、「予祝(よいわい)」と呼ばれています。起業時にも「予祝」の概念を活用することは賢明です。起業前に、起業後にお客様となっている人や、うまく行ってる状態をくっきりイメージできて、予め感謝できることは、取るべき行動を明確にするからです。

季節外れの花見話に起業成功のヒントがある


 花見と言えば春の話題なのに、季節外れの今、なぜそんな話をするの?と読者の皆様が疑問に思うのは当然です。

 今は稲刈りなどの収穫の時期ですが、春の花見は秋の収穫のためにやっているという説があることをご存じですか?

 しかも、ここに起業して商売繁盛をもたらすヒントが隠されています。

 そんな眉ツバな話は信じないというあなたに、これが決していい加減な話ではないということを、これから説明していきましょう。

花見は秋の収穫を先に神様へ感謝する「予祝」


 日本には、農耕儀礼のひとつとして「予祝行事」と呼ばれる行事が全国各地で行われています。

 あらかじめ期待する結果、つまり秋の豊作に感謝してお花見を行うと、その通りの結果が得られるという考え方があるからです。

 お花見は本来、桜に宿った穀物の神様に秋の豊作を先にお祝いし、神様に感謝する予祝でした。

 この「予祝」という概念は、様々なところで活用されています。

 たとえば、何年前からでしょうか?駅のトイレにこんな貼り紙があるのを目にしますね。

  「いつもきれいに使っていただいてありがとうございます」

 貼り出された最初の頃に、この貼り紙を見た時には「まだ、きれいに使ってないのに、なぜありがとうなんだ」と不思議に思いました。

 実は、これも「予祝」の概念を用いたものだそうです。

 先にお礼を言うことで、きれいに使っていただくという結果を期待しているのです。

 この貼り紙を目にすることが多くなってから、駅のトイレがきれいになったと感じていますが、あなたはどうでしょうか?

起業前でも起業後にお客様となる人や成功した状態に「予祝」で感謝できているか?


 実は、この「予祝」の考え方は、起業においても有益なものです。

 起業してビジネスを始める前に、自分がお客様として想定している人に感謝しよう、起業がうまくいっていることに感謝しよう、というのが起業における予祝の考え方です。

 そんな非合理的な話は信用しない、起業はもっとマーケティング的に考えるべきだ、という方もいることでしょう。

 しかし、私はマーケティングの話をしているのです。

 あなたは起業によって価値を提供します。提供した価値に対する対価が売上げです。

 誰にどんな価値を提供するのかを明確にするのが、起業におけるマーケティングの第一歩です。

 私たちが提供した価値によって、お客様が喜んでいる状態、これをありありとしたイメージとして思い浮かべられなければ、起業後にどのような成功が望めるでしょうか?

くっきりしたイメージで「予祝」できぬ未来に成功はない


 マーケティングには、潜在意識の活用が必要です。

 稲盛和夫氏は、

  「イメージはカラー映像でくっきり映し出されるくらい鮮明でなければならない」

 と述べています。

 喜んでいただくお客様が増えるほど、私たちの売上げは上がります。

 自分の起業がうまくいく未来、大勢のお客様が喜んでいるこのことに対して感謝してくれる未来を、ビジネスを始める前から、しっかりとイメージの中で思い描き完結させること、これが起業における予祝なのです。

 神様へのお詣りも予祝が良いと言われています。

 「こうなって欲しい」とお願いするのではなく、願った通りになる前に「こうなりました。ありがとうございました」と予祝するのは皆さんもご存知の通りですよね。

「予祝」を行うために事前の準備検討は必至作業


 でも、何でもかんでも予祝すれば良いという訳ではありません。

  私たちが起業するビジネスに果たして市場性はあるのか?

  競合の中で独自性を発揮できるのか?

  提供価値をどのようにお客様に伝えていくのか?

 このようなことをしっかり検討した上で、お客様が喜んでいる姿と、自分のビジネスが成功しているイメージを具体的に思い描き、そのことに感謝する予祝を行うのです。

 お花見の中に起業成功のヒントがある!今回の話にあなたはどう思いましたか?(執筆者:大場保男)

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