老人は増えているのに介護ビジネスが儲かりにくいのはなぜか?

 老人福祉・介護事業の倒産件数が、9月の倒産数で前年同期比35%増、年間倒産件数も9月の時点で最多記録を更新したと報道されています。日本国内の数少ない有望なビジネスに見えるにも関わらず、なぜ介護ビジネスは儲かりにくいのでしょうか?その理由を解説いたします。

前途洋々に見える介護業界の倒産件数が過去最多を更新


 多くの企業が介護ビジネスに新規参入しているのは、皆さんも周知のとおりです。

 ところが報道によると、老人福祉・介護事業の倒産件数は、9月の倒産数が前年同期比で35%増、更に年間倒産件数は9月の時点で最多記録を更新したといいます。

 財経新聞:老人福祉・介護事業の倒産件数が過去最多を更新

 確かに、私達のようにM&Aのご相談を日々お受けしていると、事業が苦しく売却を考える介護業界のお客さまから、ご相談をお受けすることもあります。

 介護業界は、初期投資が比較的かからず、開業しやすい、という意味では飲食店と似ているのかもしれません。

 また、国内市場が小さくなっていく飲食業界と比較すると、介護業界は老介護市場が拡大していくことが見込まれるため、より優位性の高い市場にも思えます。

 では、なぜ介護業界で、これほど倒産が増えているのでしょうか?

介護ビジネスが思ったよりも儲かりにくい理由


 飲食業も本当に難しいビジネスで、多くの方が参入しますが、多くの方が退出していく、入れ替わりのとても早いビジネスです。

 しかし、介護ビジネスはそれに輪をかけて、保険収入に依存するために売上高、特に単価が固定されてしまうため、経営の自由度が「より低い」ビジネス、と言えます。

 たしかに介護系のビジネスは、老人人口が増える日本では有望に見えます。

 また、介護ビジネスの収入源は保険によって賄われており、取りっぱぐれのない点も含めて、ビジネスとして魅力的に見えます。

 ところが、実態は既に申し上げたとおりです。

 訪問介護であれば設備投資はそれほど多くありませんが、経験のない方はFCに加入します。

 加入金等でそれなりの出費をしますが、まったく回収の見込が立たずにビジネスを辞める方が多いのが実情です。

 特に企業を定年まで勤めた方は退職金を原資にしますから、ビジネスがうまくいかなくても、会社は倒産しないはずです。

 記事の統計にはこういった方はカウントされておらず、実態はもっともっと多くの方が、このビジネスで失敗しているはずでしょう。

大手上場企業でも利益をあげるのは至難の業


 サービス付き高齢者住宅(いわゆるサ高住)などは、上場企業でも赤字が通常で、周辺業務で利益をあげるためにサ高住は運営しているとも言われます。

 銀行から借金してサ高住だけを運営し、利益をあげて借金を返す、というのは至難の技なのです。

 ビジネスをはじめる前に考えすぎるのもよくありませんが、よく調べ、現場をみて、経験者に聞きまくる、という程度のことは、新規ビジネスを始める上で、最低限必要なことだとあらためて感じます。(執筆者:大原達朗)

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