ご存知ですか?アメリカ成功哲学の元祖オリソン・マーデンを。

 ディール・カーネギー、ナポレオン・ヒル、といった、アメリカ成功哲学の太祖達が世に出る半世紀前の話。オリソン・マーデンという成功哲学の元祖がいたことをご存知ですか?オリソン・マーデンが説いた、目標設定と自己の潜在意識を活用することの重要性について、本稿はご紹介します。

ナポレオン・ヒルに影響与えたオリソン・マーデン


 美大で「健康科学」の授業を持ち、右脳開発や成功法則の内容を教授している関係で、頻繁に古本屋さんに出かけます。

 7年ほど前のある日、100頁に満たない大変薄い濃紺の本に目がとまり、1冊購入しました。

 本の題名は『ザ・レター 幸せな成功者からの17通の手紙』で著者がオリソン・マーデンとなっています。

 その内容は、マーデンが成功や億万長者を夢見る青年に向けて贈った手紙を、現代風にアレンジした“人生を成功に導く知恵”を教える本です。

 読んで感銘を受けた私は、出版社に連絡をすると在庫が5冊しかないと言われ、5冊全て譲って頂いたほどです。

 さて、このオリソン・マーデンはいったいどんな人物かと言いますと、アメリカ成功哲学の父と言える人物です。

 現代の自己啓発書の大家、ディール・カーネギー、ナポレオン・ヒル、ロバート・シュラ―、ノーマン・ピール、オグ・マンディーは、多分に漏れず、マーデンの影響を受けています。

 また、彼の本は、スティーブン・スピルバーグや、「7つの習慣」で有名なスティーブン・コヴィーらも愛読します。

 今日は、現代にも通じる成功哲学の元祖の教えを紹介しますので、それぞれの分野や業務の運営に取り入れてみることをお勧めいたします。

オリソン・マーデンが教える目標設定の重要性


目標設定の重要性:80:20の成功法則


 成功をおさめる秘訣には、「目標設定の秘訣」と「目標達成の秘訣」という2つの秘訣がある。

 しかし、そのうちで成功出来るか否かを左右するのは、「目標設定」が正しく出来ているかどうかであり、これによって80%が決まる。

 人はいつも「目標の達成」ばかりに比重を置いて考えがちだが、魚のいない場所で、いくら美味しい餌を付けて釣り糸を垂らしても、魚を釣ることはできない。

 魚のいる場所(目標)を正しく見極め、釣り糸を垂らす場所を目標設定することが、もっとも重要な成功の秘訣である。

目標×努力=成功の規模となる


 目標の選択次第で人生は決まる。正しい目標設定をし、これに努力を掛け算したものが成功の規模となる。

 成功の公式「目標×努力=成功の規模」の公式は掛け算である。

 目標は、自分が本当に求めており、社会の為になるものであることが望ましく、努力は楽天的かつ肯定的に行なわれる必要がある。

 逆に、自分が求めておらず、反社会的な目標設定はマイナスな掛け算を生み、失敗の規模もマイナスの規模に比例する。

 そのような失敗からは学ぶことが殆どなく、後悔だけが残る結果となる。

成功の確率が高い目標作りには二つの基本要素が求められる


 成功へ向けた目標作りに必要な二つの基本要素とは、以下のもので構成される。
  • 1)好きなこと・やりたいこと・ほしいもの
  • 2)できること・向いていること・必要なもの
 この2つの要素が重なりあったところに、成功の確率が高い目標が存在する。

二つの基本要素は7つの目標分野でバランス良く達成されるのが望ましい


 先述した二つの成功へ向けた基本要素は、次の7つの分野で確認され、すべての分野でバランスよくなされるべきである。

 それは、
  • 仕事
  • 健康
  • 家庭
  • 教養
  • 趣味
  • 精神
  • お金
 これら7つである。

 人生の成功にはバランスが必要であり、このバランスを保つことが「幸せな成功者」となるには必要である。

 バランスが欠けていると、人はある分野について犠牲を払っていると感じ、ストレスを抱えることになる。

目標を紙に書いて復唱すると潜在意識を活用できる


 “目標を紙に書いて復唱する”行為は、80%を占める無意識の中に目標を叩き込むことを意味する。

 私達が普段「意識して」行動することは、驚くほど少ない。

 歯を磨く時、靴下を履く時、私達はどこからそれを始めているか、はっきりと言うことは出来ない。つまり、ほとんどの行動は無意識の元で行われているのである。

 目標の具体化は、目標達成の為に必要な行動力だけでなく、無意識下に存在する潜在能力を引き出したり、必要な情報をキャッチさせるアンテナ役となる。

成功の呪文を唱えることを習慣化し潜在意識を活用する


 エジソンとフォードは親友であり、「目標を紙に書き、その目標を達成した姿をイメージしながら復唱する」ことを実践した。

 後に、この潜在意識の活用方法は、「成功の呪文」と言われ多くの成功者が実践するものとなった。

 ひらめきと呼ばれるものは、突然起こるのではなく、潜在意識が考え続けた結果として起こる現象である。

 潜在意識が考え続ける秘訣は、成功の呪文を唱えることである。

心から納得できる目標は無限の可能性を引き出すパスワード


 心から“これだ!という目標”を潜在意識に送り込まないと「成功の呪文」は威力を発揮しない。

 成功の呪文は、何を目標としているのか?という目標設定でその威力が変わる。

 自分らしくない生き方や目標を唱えたところで、結局は疲れてしまい、逆効果となってしまう。

 目標は、無限に広がる可能性の扉を開ける“パスワード”である。

目標を決意書として文章化する


 アメリカ初代大統領のベンジャミン・フランクリンは、目標を達成するまでの過程で決意書を作成し、これを大いに利用した。

 フランクリンはその人生において、「道徳性」を持つことをそのテーマとし、「13の徳目」という道徳習得一覧表を作成し、これに基づく具体的な行動計画を練り、これを実行した。

 誰も偶然にエベレストへ登ることが無いのと同じで、成功するためには目標と綿密な計画が練られる必要がある。

 現在では、この考え方が企業において「ミッション・ステートメント(経営理念)」として活用されている。

最初の目標設定は高くし、それを細分化して達成し続ける


 10tの岩を一気に運ぶのは難しいが、10kgの岩を1,000個運ぶことは実現可能であり、どちらも同じことを実現することになる。

 また、目標達成は一夜の宴と同じで、瞬間の出来事である。

 従って、最初に設定する目標は大きく簡単に達成できない理想的なものが良い。

 しかし、継続してその目標へ向かうために、目標を細分化し現実的なものとし、それを達成し続けることが重要である。

批判は耳を傾けながら無視をしろ


 蒸気機関車を作るという目標を持ったジョージ・スチーブンソンを、当時周囲にいた人たちは「そんなことは出来ない」と嘲笑った。

 しかし彼は批判を黙って聞きながら、違った角度で「誰も信じていないということは、自分のやっていることはチャンスなのだ」と無視していた。

 大衆は一般論を身にまとう批評家でしかなく、批判は耳を傾けながら無視する必要がある。

幸せな成功者になる「お金の使い方」:1割貯金


 毎月の収入のうち1割を、いかなる状況でも貯金し続ける。

 1割貯金をしていることによって、お金の使い方に冴えが出てきて、お金を大切に扱う習慣が身に付き、金銭のバランスのとり方が上手くなっていき、大きな財産となる。

普遍的な知恵:目標設定の重要性・自分を信じることの大切さ


 オリソン・マーデンが、およそ125年前にこれらの考え方を著述した『Pushing to the Front(前進あるのみ)』という本は、世界中で1000万部を超える大ベストセラーとなり、時の明治政府が承認する英語の教科書にも採用されました。

 その後、マーデンは現在でも米の5大ビジネス誌の一つにあげられる『サクセス・マガジン』を創刊。

 事業の世界でも数社のホテル経営を成功させました。

 ちなみに彼が成功哲学を唱え始めたのは、日本で福沢諭吉が「学問のすすめ」を100万部売り上げている頃の話です。

 ぜひ、一度皆さんにも『ザ・レター 幸せな成功者からの17通の手紙』を読んでいただければと思います。

 普遍的な目標設定の重要性、自分を信じることの大切さを、感じていただくことができるでしょう。

Photo credit: Internet Archive Book Images via Visual hunt / No known copyright restrictions(執筆者:佐藤 明紀良)

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