欧州では当たり前“日本経済の起爆剤”になりうる社会的企業とは?

 社会的企業とは、公共団体(国や地方自治体)と民間団体(一般の営利企業)と慈善団体(NPO法人や協同組合)のそれぞれの事業が重なり合う部分について、事業を行うことで収益を得る企業を指します。欧州で90年代初めから現れた、新しい企業体は果たして日本に定着するのでしょうか?

ここ20年の間に欧州で発展をとげる社会的企業


 1997年イギリスにブレア労働党政権が誕生した時、イギリス国内の貧富の差は戦後最悪の状態でした。

 このように限られた財源の中で、格差の是正と公共サービスの充実を図るために、イギリス国内で台頭しはじめたのが「社会的企業(ソーシャルエンタープライズ)」です。

 社会的企業についてわかりやすく説明すると、公共団体(国や地方自治体)と民間団体(一般の営利企業)と慈善団体(NPO法人や協同組合)のそれぞれの事業の重なり合う部分を持つ企業と言えるでしょう。

 欧州で90年代初めから現れたたこの企業体は、今日、イギリスをはじめとし、イタリア、スペインでも急増しており、日本国内でも若干認知され始めています。

社会的企業が事業内容を通じて担う3つの役割


 社会的企業は、その事業内容を通じて、主に以下3つの役割を果しています。

公共団体的な役割


 障害者やホームレスを雇入れ、医療や教育などの公共的サービスを事業化する

民間団体的な役割


 新しいビジネスを開拓して利益を求める

慈善団体的な役割


 地域社会に貢献するという目的を持ち、利益は社会の為になるように投資する

 また、社会的企業は、失業中の若者や薬物中毒者だった人や障害者も積極的に雇用し、運営資金の60~80%を事業収入で得た上で、残りは国などの補助金でまかなう仕組みを構築しています。

 彼らがどのような事業を展開しているかご紹介すると、
  • 飲食業の訓練をして国家認定資格を取得させ、飲食店に斡旋する職業訓練施設の運営
  • 特定ホテルやスポーツチームの専属のクリーニング会社
  • 廃材を利用して安い家具を作り小屋を建てて販売する建築会社
 などがあげられます。

 一方。地方では、風の強い地域に風力発電機を建て、地元に安い電力を供給する電力会社や、地域の医師達が曜日ごとに出向き時間外診療を行
う会社などもあります。

日本国内でも社会的企業の存在が常識となる日は来るか?


 さて、私ごとですが、9月と11月に北海道の旭川市で養護施設や介護施設など7軒の「社会的企業の日本版」ともいえる会社の経営者達に、リンパ整体とミラクルオイル温湿布療法を教えに行って来ました。

 これは、7施設の創業に携わり、現在もコンサルタントとして活躍されている曽我部健男先生(日本松濤館空手道連盟)が、各施設を満床にする為には、各施設の長が入居者の怪我や病気に対処出来る能力を有するべき、という考えから招へいされたのでした。

 老人ホームや介護施設の入居者は、不眠症や夜尿症や頻尿の方が多く、認知症の不安をかかえている人が多いということで、国際アロマリンパ協会の門馬ひろみ会長に同行して頂き、アロマよるこれらの症状緩和方法と、怪我や病気の簡単に出来る対処法としてのミラクルオイル温湿布療法を指導して頂きました。

 曽我部先生は、青少年の健全な育成のために空手教室をやっていましたが、故郷に帰ってきた教え子達に就職先が無いので、各施設を建設し就職させています。

 老人ホームなどで地域社会に役立っていることは高く評価されており、介護施設としては公共団体からの支援も受けながら極めて安定した経営を実現させており、日本版“社会的企業”の草分けとも言える企業です。

 安倍内閣の第4回成長戦略は、人工知能など第4次産業革命、健康立国、環境・エネルギー投資の拡大、スポーツの成長産業化、中古住宅・リフォーム市場の整備、サービス産業の生産性向上、観光立国、農業改革・輸出促進、公共分野での民間資金活用、消費マインド喚起の10分野を挙げています。

 これらの分野で、公共的・民間的・慈善団体的な、3方の側面を持つ企業がこれから増えていくことでしょう。

 イギリス国内での“社会的企業”が1万5千社を超え、約80万人の雇用を行っている現状を見る時、10分野の全ての分野で“社会的企業”が起爆剤となって発展する予測が立ちます。

 ぜひ、これからの社長さん達に、社会的企業という概念を知ってもらえればと思います。(執筆者:佐藤 明紀良)

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