個人事業主は12月が年度末〜確定申告に備え事前点検するべき項目

 慌ただしい師走を走り抜け、ホット一息つかれた場面からもしれませんが、個人は1月~12月が所得税の計算期間ですから、自営業・フリーランスなど、個人事業主の方にとっては会社にとっての「年度末」と同様の時期にあたります。来年の3月に備えてあと一踏ん張り。確定申告に備え、年末のうちに事前点検するべき項目をご紹介します。

12月末=個人事業主にとっての「年度末」


 早いもので、今年もわずか1週間ほどとなりました。

 慌ただしい師走を皆さん精力的に過ごされたことでしょう。

 ホッと一息疲れたところで恐縮ですが、もし一息付かれているなら、来年のために最後の一踏ん張りでチェックしておいてほしいことがあります。

 個人は1月~12月が所得税の計算期間ですから、自営業・フリーランスにとっては会社にとっての「年度末」と同様の時期にあたります。

 そして、年が明けるといきなり始まるのが、慌ただしい確定申告に向けた準備です。

 とはいえ、年始にバタバタと準備を始めるよりも、年内にできるだけ俯瞰して確定申告も踏まえた準備を行えば、よりよいスタートダッシュが切れます。

 そこで本稿は、確定申告に備えて、年末のうちにやっておくべきことを、ザッとご紹介しますね。

準備1:年内に作成・発行した書類を整理する


 さぁ、まずは資料の整理からスタートです。

 年末までに作成・発行した資料は、もう既に整理されていますか?

 毎月きちんと帳簿を整理していたりすれば結構ですが、まだ何もしていないという方も多いのではないでしょうか?

 一番最初に揃えておいたほうが良いのは、ボリュームの大きな以下の書類です。
  • 売上関連(請求書)
  • 原価支払関連(相手へ支払った請求書・領収書)
  • 経費関係の領収書
 次に余裕があれば、事業関連以外で揃えるものとして、以下も整理しておきましょう。
  • 国民年金の支払い額
  • 国民健康保険の支払い額
  • 生命保険料控除の控除証明書
  • 地震保険の控除証明書
  • 小規模企業共済の控除証明書
  • ふるさと納税(寄付金控除)の証明書
  • 医療費の領収書(原則10万円超えているようなら)
 たとえば、医療費の領収書で大きな病気は無くとも、歯医者での治療などありませんか?

 ちりも積もれば山となりますので、ここらへんの書類までは、年が明けて年度がかわる前に、資料を整理しておくのが良いでしょう。

準備2:年内に経費計上できるものを探そう


 現在やっている事業において、年内に経費として計上できるものがないか?探してみましょう。

 ただ注意点もあります。

 年度末で消耗品を大量購入するような場合は「貯蔵品」となり、経費計上とはならないので無意味です。

 原材料などの仕入れも「棚卸資産」となるので経費ではなく、資産扱いとなります。

 利益が出ているようならば修繕を行ったり、青色申告なら経理処理にもよりますが、30万円未満の備品を買って一気に経費計上するのも有効な手段です。

 所得控除ではありますが、小規模企業共済に加入するという手もあります。

 小規模企業共済は個人事業主のための退職金のような制度です。※一定の中小企業の役員でも実は加入できます。

 経費と同じように扱われるので、最大84万円の支払いが可能です。

 今年でも、まだギリギリ間に合うと思います。

 参考:【中小機構:小規模企業共済制度】

 後はふるさと納税を活用した節税も一考です。

 市町村によって異なるようですが、場所によっては12月31日中のクレジット決済ならば、今年のふるさと納税にカウントされるところもあるようです。

 調べたところ、早いところは12月28日で締めきるという市町村もありました。

 確かに職員さんたちの作業を考えると大変ですよね。

キャッシュアウトは慎重に。前倒し準備は計画的に。


 最後に一つ注意していただきたいのは、税金だけに目を向けて経費を使うとお金が残らないということです。

 ご利用は計画的に。

 あくまで本当に必要な経費にお金を使うのが良いでしょう。

 また、毎年、確定申告時期に領収書が見つから無くて経費計上できない方をお見かけします。

 少しでも前倒しで確定申告の準備を始めるにこしたことはありません。

 場合によっては税理士に相談してみるのも一つですから、声をかけてみましょう。(執筆者:高橋輝雄)

【関連記事】