どんなに優秀でも、その優秀さが営業の絶対的な優位を決めるものとはなり得ない。

 多くの企業で採用されている新卒採用のロジック(マトリクス)には、横軸:『育てたい学生』『育てたくない学生』、横軸:『優秀な学生』『優秀でない学生』という軸があります。これを社会人の営業活動に当てはめてみると、優秀さ以上に、人として付き合いたいか否かが、重要視されていることが理解できます。

営業最前線でも活かせる新卒採用マトリクス


 今日は、“ある”新卒の採用ロジックが、営業の最前線でも活かせるロジックだなと思ったので、ぜひ皆さんにご紹介したいなと思います。

 新卒を採用する時に、あるマトリクスを作成することがあります。

 どんなマトリクスかと言うと、
  • 横軸:『育てたい学生』『育てたくない学生』
  • 縦軸:『優秀な学生』『優秀でない学生』
 という感じで区切ったものです。

 図にすると、こんな感じですね。
節約社長
 採用時に企業側がどの枠を1番最初に採用したいかなっていうと、『育てたい学生』で『優秀な学生』が1番最初です。

 『育てたい学生』で『優秀でない学生』が2位で、そして『育てたくない学生』なんだけれど『優秀な学生』が3位でした。

 最後は、『育てたくない学生』だし『優秀でない学生』が4位です。
節約社長

優秀か優秀でないかは上の主観で決まりやすい


 理屈で言うと、このマトリックスの順位付けは当たり前のハナシですね。

 この ”育てたい” ”育てたくない” については、中小零細企業で言えば、社長さんが 「育てたい!」 or 社長さんが「育てたくない!」みたいな感じで、社長さん個人の思いだけで分けることが出来ます。

 では!この縦軸の『優秀な学生』『優秀でない学生』の、” 優秀 ” とはいったい何なんだろうな?!っていうことを中小零細企業に置きかえた時に考えてしまうんですよね。
節約社長
 『優秀な学生=有名大学』『優秀でない学生=有名大学でない』っていう区切りは、まず出来ないですよね。

 というのも、仕事と学校の勉強では全く違いますし、配属される職種によっても全然違いますよね。

 やっぱり人間苦手なことは、みんな出来ないわけですよ。

 例えば接客がとても得意だけれども、事務処理が苦手なんだというパターン。こういう人にとって、事務処理は苦痛でしか無いんですよね。

 でも逆もあるわけで、事務処理は得意なんだけれども、接客が苦手で、接客するくらいなら死んだ方が良い!っていう(笑)

 そういう人が何年も何年も接客をやらされていると、気に病んで病気になってしまう、っていうこともありますからね。

 ” 優秀とは何だろう… ” ということを本当に突き詰めていくと、転職とかを繰り返しますと、ある会社では評価が低かったのに、次の会社に行くとすごく評価が高くなるとか、そういうことは実際にあるんですね。

 これを評価しているのが誰なのかっていうと、だいたい上司であったり取引先が、声の大きさとしては大きいわけですけれども、そう考えると、結局は評価をする人によって、評価が上がって ”優秀” とされるわけです。

 それで、その会社内で ”優秀”とか言われちゃうと、これがまた会社を飛び出して、自分で事業を起こしちゃったりなんかしてね。

 私のお客様もそうですが、自分から会社を飛び出した方は、その前の会社で非常に評価の高かった、いわゆる ”仕事が出来る” と思われていた、優秀だと思われていた方が、起業しているパターンが多いです。

優秀でも優秀でない人より評価が下がる場合


 今回、この新卒採用のロジックを営業に活かしてみようと思ったのは、これを取引先を増やしていくという営業のロジックで考えた場合、たとえば会計事務所としましょう。
  • 横軸:『付き合いたい会計事務所』『付き合いたくない会計事務所』
  • 縦軸:『優秀な会計事務所』『優秀でない会計事務所』
 これで考えてみると、『付き合いたい会計事務所』で『優秀な会計事務所』が1位ですよね。
節約社長
 そして『付き合いたい会計事務所』で『優秀でない会計事務所』は2位です。

 以下、先程と同じ順位ですね。

 やっぱり、営業に置きかえて考えても、”付き合いたい” っていうのがロジックとして1番最初に来るんだろうな、と。

 ですから、「売らなくても売れる」っていうのは、やっぱりこの1位のとこですよね。

 更にこのロジックを見ると、優秀さを前面に出すことが必ずしも『勝ち』ではない!という気づきを、みなさんに今日お話したかったんです。

 『優秀な会計事務所』なのに『付き合いたくない会計事務所』の部分ですね。

 優秀さを前面に出したところで、結局、まぁ1位か3位なんですけれども、ですけれども3位っていうのは、2位よりも劣っているわけですからね!

お客様を大事にできているか胸に手を当てよう


 でね、これは色々なことに当てはまっていると思うんですよ。

 商売で考えてみても、結局『付き合いたい』っていうことから入っていれば、決して優秀でなかったとしても、2位には選んでいただけるんですね。

 こういうことをよく考えて、日々の業務…細かいことかもしれませんけれども、お客様というものを大事に出来ているのか?考えてみるのは価値のある行為だと思います。

 今の既存のお客様を大事にすることによって、その広がりから新規のお客様が増えて行く、ということも結構ありますからね。

 この学生用の新卒採用ロジック、営業でも参考にしてみるのはいかがでしょうか。


 
(執筆者:タナカキミアキ)

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