プレミアムフライデー導入の背景とその概要、今月末に行なわれるイベントは?

 2017年2月24日からついに政府の定めたプレミアムフライデー制度が始まります。プレミアムフライデーは、毎月の最終金曜日には仕事を15時に終わらせて帰り余暇を楽しむことを、官民一体となって推奨する制度です。本稿では、プレミアムフライデーの導入背景とその概要、今月末に行なわれるイベントをご紹介したいと思います。

プレミアムフライデー制度が導入される背景


 2017年2月24日から、ついに政府の定めたプレミアムフライデー制度が始まります。

 プレミアムフライデー制度をざっくり簡単に説明すると、「毎月、最終金曜日は15時に仕事を終わらせて帰りましょう。」という目標を官民一体で推進する取り組みのことです。

 なぜ今、この制度が導入されることになったのか、最初にその理由をご説明しましょう。

名目GDP600兆円の達成目標


 2016年8月3日に発足した安倍改造内閣はアベノミクスの新しい3本の矢として、
  • 戦後最大のGDP600兆円
  • 希望出生率1.8
  • 介護離職ゼロ
 を掲げました。

 まず、政府には「平成32年までに名目GDPの600兆円(27年度確報値:532兆円)を実現する」という大きな目標があります。

 名目GDPは、国民の実態を反映した指標として市場評価を得やすく、海外からの人的資源・文字通りの投資マネー還流を促進するものです。

 これを実現するためには、まず最初に国内消費を旺盛に喚起する必要があります。

 対して、日本経済団体連合会(以下、経団連)も個人消費引き上げの恩恵を受けたい意図を持ち、これに積極的な協力姿勢を示しました。

 この意味でプレミアムフライデーは、官民一体でぶち上げた制度と言えます。

働き方改革の実現


 また先述の、
  • 戦後最大のGDP600兆円
  • 希望出生率1.8
  • 介護離職ゼロ
 を実現するために、安倍首相が最大のチャレンジと公言しているのが「働き方改革」です。

 昨年の8月に、働き方改革担当大臣(現職:加藤勝信衆議院議員)というポストを作るほど、安倍内閣は労働環境の是正に積極的です。

 実際に国内では過労死事件の報道でも注目されている、ワークライフバランスの見直しに注目が集まっています。

 なぜなら、
  • 少子高齢化で生産年齢人口の減少による労働人口の减少
  • 社会全体での生産性の上昇と人材の多様性への対応
  • ブラック企業を代表とする長時間労働
 これら山積みとなった問題を解決しなければ、最終的に国内経済が疲弊し縮小していくと政府は考えているからです。

 これを解決する方針として、
  • 働き方を見直すことで、充実感や満足感を実感できるような生活スタイルに変える機会にする
  • 終業時間を見直し家庭の時間を充実させることで、地域のコミュニティ性の強化や一体感の醸成につなげる
 という目標も掲げられており、余暇を増やす意味でプレミアムフライデーは重要政策となるのです。

 つまり、プレミアムフライデーの導入は、
  • 消費の拡大と経済の浮揚
  • 働き方改革
 という二つの効果を狙う、一石二鳥の施策と言うわけです。

 本稿は、プレミアムフライデーの概要と、2月に行なわれるプレミアムフライデーイベントの一部をご紹介します。

プレミアムフライデーの概要をおおまかに説明


 読者の皆さんは、バブル期に流行した「花の金曜日(通称:花金)」という言葉をご存知ですか?

 バブル期(1990年前後)は、それまでの週休一日制から週休二日制への変換が進んだ時期であり、「花の金曜日」は、バブル期に出来た新しい休日の前の金曜日に、余暇を楽しむ若者やサラリーマンが激増した光景を表した言葉です。

 これを踏まえてなのかは不明ですが、プレミアムフライデーの15時以降には流通業界、外食業界、旅行業界などが国民の消費意欲を喚起するようなイベントを開催することも想定されています。

 以下、概要をお伝えします。

プレミアムフライデーが実施される時期


 平成29年2月24日(金曜日)以降、毎月の月末の金曜日に実施されることが決定しています。

プレミアムフライデーを実施する期間


 現時点では、金曜日を核として、柔軟に設定することになっています。

プレミアムフライデーの実施主体


 買い物や観光、ボランティア活動、あるいは家族との時間を過ごすことなど、より多くの人が「生活の豊かさ」や「幸せ」を感じられるよう、付随する商品やサービス、イベントなどを地域やコミュニティ、または企業などが行うこことが想定されています。

プレミアムフライデーの対象となる地域と業種


 全国各地で、業種に関係なく実施します。

 ただ、デフレ的な状況を変えるために、国民の消費を喚起するようなイベントを流通業界、外食業界、旅行業界などに頼るという面もあります。

 経済産業省が中心となって立ち上げたプレミアムフライデー推進協議会のメンバーに、日本百貨店協会や日本チェーンストア協会、全国商店街振興組合連合会など15団体が名前を連ねていることからも、これらの団体が最初は中心となっていくことが予想されます。

プレミアムフライデーのイベントを一部ご紹介


 さて、2月24日(金)からは、いよいよ民間レベルでイベント(取り組み)が行われます。

 どんなイベントがあるのか、いくつか事例をご紹介します。

西武鉄道株式会社


 西武鉄道は「プレミアムフライデー」の取り組みとして、イルミネーションで人気となっている西武園ゆうえんち「イルミージュ」への来場に便利な“プレミアムフライデー号”臨時急行 西武遊園地行きを運行します。

 臨時電車を利用して来場・入園した顧客には「「イルミージュ」をイルミ案内人が解説をしながら園内を巡る特別サービスを実施。

 街明かりの影響が少ない漆黒の闇の中で、望遠鏡・双眼鏡などを使用し星空解説を行うスターパーティ(星空観賞会)も開催される予定です。

日本旅行(JTB)


 日本旅行はプレミアムフライデーに合わせて、金曜日の午後から出発可能なツアーの提供を始めます。

 特設予約サイトでは、2名以上で旅行を予約する人向けに、10,000円のクーポン配布も実施されました。

ホテルニューオータニ


 ホテルニューオータニは、ホテル最上階(24階)から東京湾のサンセットを眺めながら、スパークリングワインを片手に、大人の時間を過ごせる『トワイライトハイティーセット』を、プレミアムフライデー(金曜日)のみディスカウント提供します。

 通常5,940円の120分のフリードリンク付『トワイライトハイティーセット』が5,000円で提供され、通常17:00スタートのサービスが、2月24日(金)、3月31日(金)だけは15:00以降から予約可能となっています。

 上記にあげたイベントの他にも、ヨガエステ、音楽レッスン教室などが、プレミアムフライデーの15時以降に出来た、余暇の時間に楽しめるレッスンを用意するようです。

 また、百貨店協会でも百貨店内をプレミアムフライデーに食べ歩きできるイベントを実施予定。(2月4日時点で詳細は未公表)

 今後の記事では、プレミアムフライデーのメリットやデメリットをお伝えすると共に、追加で面白いイベントがあればご紹介したいと思います。(執筆者:株式会社iCARE)

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