二宮尊徳「風呂の湯の哲学」が教える成功する人に共通した非効率な特徴

 私達はいつも、成功するにはどうしたらいいのだろうか?と、あれこれ考えたり悩んだりするものです。しかし、この問いかけに対する答えは非常にシンプルで簡単なものです。それは、時に非効率でも、相手の気持ちに立って動くことを徹底して実践することです。二宮尊徳の幼少期体験として伝わる「風呂の湯の哲学」はまさにそれを表します。

斎藤一人さんが説く成功するための秘訣とは?


 長者番付が発表されていた頃、ずっと番付上位にランクされていた斎藤一人さんは、次のような成功の秘訣を説いています。

「あのな、成功するって簡単なんだよ。相手の気持ちになって動けばいいんだよ」

 成功するにはどうしたらいいのだろうか?と、あれこれ考えたり悩んだりするよりも、相手の気持ちに立って動くことを徹底すれば、成功するのは簡単なのかも知れませんね。

 永松茂久さんの「感動の条件」という本の中には、人生をV字回復させる心のスイッチとして「自分の心の中に、大切な人の喜ぶ姿をイメージすること」と書かれています。

 あなたの事業を通して誰に喜んでもらうか?社会にどんな貢献をしていくのか?

 これを明確にしたものをミッションと言います。

 事業を成功させるには、あなたの中にある力を最大限に発揮させる必要があります。

 そして、あなたの大切な誰かを喜ばせようと思ったとき、あなたの中の力が最大限に発揮されるのです。

人に施すことの大切さを教える「二宮尊徳の風呂の湯の哲学」


 まだ小学校の低学年の頃、ある男の子がお祖父ちゃんと一緒に風呂に入りました。

 その時、お祖父ちゃんがこんな話をしたと言います。

  “風呂の湯を向こうに押してやると、湯がこっちに返ってくるだろう。

 湯をこっちに寄せようとすると、湯は向こうに行ってしまうだろう。

 だから、自分から何かを欲しがってはダメだ。

 相手に何かをしてやれば結局、それが自分に返ってくるんだよ。”

 男の子にお祖父ちゃんは同じ話を何回もしてくれました。

 男の子は子供ながらに、そんなものかな?と思いつつ聞いていたようですが、風呂で色々な話を聞いた中で、この話は妙に記憶に残っていたと言います。

 実は、この話は二宮尊徳による風呂の湯の哲学、つまり、まず人に施すことが大切だという話だったのです。

 相手に施す、与えることが出発点だという考え方は、起業家にも求められるものですよね。

効率化の裏で、決して忘れてはいけないもの


 では、相手に心から喜んでもらうには、どうしたらいいのでしょうか?

 そのキーワードが「非効率」です。

 効率化を図ることによってコストダウンを行い、それによって価格競争力を高めていく戦略が、多くの企業では行われています。

 でも、効率化を第一に考える現代社会において、決して忘れてはいけないものがあります。

 それは“心と手をかけたもの”、つまり、非効率の追究です。

 手間暇かけると、そこまでやってくれるのかと、そこに感動が生まれるのです。

 感動は、非効率の中に生まれます。

展開型成功を目指す人は非効率なビジネスを行うのが合う


 非効率の世界、それは、アナログの極致とも言えるでしょう。

 アナログとは、5感に訴えることです。

 さて、成功には2種類あることをご存じでしょうか?

 それは、目標達成型成功と展開型成功の2種類です。

 目標達成型成功とは、しっかりと目標を立てて、その達成に向けて計画を作成し、着実に実行していくやり方です。

 私たちは、子供の頃から目標達成型の成功を教育されてきましたね。

 これは成功するための王道ですが、目標と立てなければ、それに向けての計画を作らなければと、心にプレッシャーがかかるという一面があります。

 また、目標を達成しないとストレスが溜まっていってしまいます。

 一方、展開型成功とは何でしょうか?

 目の前の人に喜んでもらうよう全力を尽くすこと、目の前の仕事を全力で行うことで人に好かれ、頼まれごとが増えていくうちに、どんどん道が開けていくという成功です。

 この方法の場合、出会う人を幸せにするチャンスが増えて、あなたのステージが上がって行きます。

 成功するために目標を立て、それに向けての計画を作り着実に実行していくことは、たしかに重要なことです。

 でも、それにばかり拘泥するのではなく、目の前に人に喜んでもらうこと、自分の仕事に全力を尽くすこと、このような展開型成功を心掛けることも極めて重要です。(執筆者:大場保男)

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