誠実で努力家で真面目な人ほど商品が売れず成功しにくいという現実

 「良い商品を作ればお客様は必ず自分達の商品を買ってくれる。商品がまずは一番大事だ。」という世の中でセオリーとされる考えに対して、経営コンサルタントの島倉さんは「誠実で努力家で真面目な人ほど商品が売れず成功しにくい。」と真っ向から反対意見を述べられます。なぜ真面目に商品価値を高めようとする人ほど売れないのか?理由を説明していただきました。

誠実で努力家で真面目な人ほど商品が売れない


 今回は誠実で努力家で真面目な人ほど、うまくいかない、失敗しやすい、というお話をしてみたいと思います。

 世の中、不条理というかなんというか…という話なのですが、これにはちゃんと理由があります。

 実は、誠実で努力家で真面目な人って、商品の販売を始めた後でそれが売れないと、「商品が良くないんじゃないか?」っていう思考に陥りがちなんです。

 だから、「もっと良い商品を作らないと」って思っちゃうんですよ。

商品が良くても売り方が駄目なら意味が無い


 それで、こういうまじめな人を見た時に「どんな売り方をしているの?」って観察していると、全然イケてないんです。ダメなんです。

 世の中一般に広がっている、在り来りな方法しかやっていないんですよ。

 もう、おわかりだと思いますが、ビジネスを成功させる上で大事なことって、商品以上に売り方だったりします。

 ところが、誠実で努力家で真面目な人は、どうしても商品の開発にのめり込んでしまう傾向があります。

 そこに時間とお金をかけて、いろんなものを浪費してしまうと。

 たとえば、チラシ一本で販促をしていて、インターネットは一回もさわらないとか、インターネットはやっていても、ホームページだけでSNSはやらないとか。

 売り方にちっとも力を入れない、もっと言えば冒険していないのです。

 ところがまじめな人は「良い商品があれば売れる。だから、良い商品を作らないとダメなんだ!」って、そういうことしか考えられないんですね。

世の中で売れるものは良いものとは限らない


 でも、世の中で実際に売れるものって、良いものだけじゃなかったりします。

 たとえば、テレショップでよく見かけるダイエット器具とか、実際にリアルで見ると、鉄パイプがつながっただけの、凄いしょぼい器械だったりするじゃないですか。

 「あんなん、誰でも作れるじゃん!」っていう鉄パイプの塊が、バンバン売れているんです。

 なぜ売れるのか?理由は、商品の販売方法がとてもインパクトがあって、消費者の印象に残るものだからです。

 物凄く丹念に精巧に作り込んだものだけが売れているわけじゃなくて、売り方の上手なもののほうが売れているのが現実なんです。

 だから、誠実で努力家で真面目な貴方に伝えたいのは、商品開発ばかりしている場合じゃないということです。

お客様の悩みを解決しているか?それだけだ。


 というのも、ビジネスの大前提となる仕組みってどんなものかというと、売り手と買い手がいて、買い手の悩みを解決してあげる代わりに、売り手は対価としてお金をもらえるというものです。

 先程のダイエット器具の話で言うと、「痩せたい」っていう悩みが解決すれば、それでお金をもらえますよね。

 ところが誠実で努力家で真面目な方っていうのは、既に相手の悩みを解決する十分な能力を備えた商品を持っているのに、売れない時は更に過剰なまでに商品を更に作り込んでしまいます。

 価値を過剰に付けすぎてしまって、最終的に消費者もよくわからない商品になって、更に売れなくなると。

 ちょっと昔の例で言うと、CDやカセットで音楽を聴くミニコンポってありましたけれど、あれも複雑な機能が付きすぎて、結局は多機能商品の中で埋没化してしまいました。

 洗濯機なんかも、日本の商品は様々な機能をつけて売り出しますけれど、世界で大ヒットしているなんて話は聞きません。

 ところが、中国のハイアールなんかは、洗って脱水する、以上!と、これだけの機能しかないのだけれど、世界中で販売され大ヒットしています。

 付加価値を高めすぎて訴求ポイントが不明瞭な商品よりも、単純な商品のほうが売れるんです。

 だから、ある程度お客様からお金をもらっても良いよねという商品が出来たなら、そこから更に商品開発にのめり込むなんてせずに、まずはとにかく売る。

 売ることを考えましょう。

 その際に、もし売れなかったのだとしても、商品がマズイんだって勘違いするのではなく、まずは売り方を変えてみることをオススメします。


 
(執筆者:島倉大輔)

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