ペルソナ・マーケティングとは幸せにしたい「お客様」を明確にすること

 年齢に関係なく幅広い人たちに支持される商品だとしても、ターゲットが明確になっていないと、誰に向かって何を訴えていくかがボンヤリしてしまい、結局は誰を幸せにする商品なのかわからないまま、市場から消え去ることになってしまいます。そこで本稿では、自分が幸せにしたい人をありありと思い浮かべるペルソナ・マーケティングについてご紹介します。

仕事とは“人”、特に“お客様”を幸せにすること


  “仕事とは、人を幸せにすること”

 私たちは、起業の場合だけに限らず、仕事について考えるとき、上記の言葉を常に胸に抱いておく必要があります。

 では、幸せにするべき人とは誰でしょうか?

 第一に思い浮かぶのはお客様であり、更には一緒に仕事をする人取引先、地域の人々…

 そうです。

 仕事とは、自分の仕事にかかわるすべての人を幸せにすることで成り立つものです。

 そこで本稿は、「お客様」をどうやって思い浮かべ、商品やサービスを設計すれば良いのか、ご紹介したいと思います。

幸せにするお客様を明確にするペルソナ・マーケティング


  「あなたが、これから始める事業のお客様、いわゆるターゲットは誰ですか?

 これから起業する人に、こんな質問をすると「自分の商品を喜んでくれる人なら年齢は問いません。どなたにも喜んでもらえるような、自信のある商品ですから…」と、こんな答えが返ってくることが少なくありません。

 しかし、年齢に関係なく幅広い人たちに支持される商品だとしても、ターゲットが明確になっていないと、誰に向かって何を訴えていくかがボンヤリしてしまいます。

 このような状態とならないために、誰を幸せにしたいかをありありと描く必要があります。

 例えば、渋谷のスクランブル交差点で「30~40代の主婦の方はいますか?」と呼ばれるより、「34歳で小学校3年生の女の子がいる主婦の方はいますか?」と呼ばれると、「あっ、私のことを呼んでいる」と、つい、振り返ってしまいますよね。

 ペルソナ・マーケティングとは、このように自分が幸せにしたい人のことを、リアルに商品・サービスの設計で思い描き、これを商品やサービスにアウトプットする施策のことを言います。

ペルソナ・マーケティングを実践する具体的な5つのステップ


 ここからは、ペルソナ・マーケティングの実践方法をご紹介します。

1)大まかなターゲットを設定する


 ペルソナ・マーケティングでは、まず、自らが商品・サービスとするものを必要とするペルソナについて、「30~40代の主婦層」というように、おおまかにターゲットを設定します。

2)ターゲットから1人の人物を選びその姿を思い描く


 次に、おおまかに想定したターゲット層の中から、一人だけを選んでみましょう。

 その人に関して、今までの生い立ち、生活や好み、家族環境、友人、経済的な環境などについて、ありありとその姿を記述してください。

 その人があなたの目の前にいて語りかけるくらいまで、リアルにその人の姿を思い描いてみましょう。

3)ターゲットの詳細を明文化にする


 次に、ターゲットとして選んだ人について、次の点を参考にペルソナを明文化していきます。
  • ・性別
  • ・生年月日
  • ・生まれ育った場所
  • ・出身学校(小中高大学など)
  • ・就職した会社(仕事)
  • ・趣味
  • ・好きな飲食物
  • ・身長・体重
  • ・靴のサイズ
  • ・起床・就寝時間
  • ・やっている運動
  • ・どんな家に住んでいるか
  • ・家族構成
  • ・家族の年齢、性別、仕事や学校
  • ・友達
  • ・好きなファッションの傾向/li>
  • ・性格
  • ・1カ月の自由になるお金
  • ・買物場所
 詳細項目はこれ以上ありまして、これらは代表的なものです。       
  
 多分、多くの方は上の項目を見て、そんなことまで考えられないよ!と思ったことでしょう。

 そうです。これをすべて想定するのは大変なことです。

 では、どうしたらいいのでしょうか?

4)モデルが思い浮かばないならモデルに似た知り合いからヒアリング


 モデル人物について詳細を思い描けない場合、たとえば30~40代の主婦層がターゲットならば、あなたの知り合いの人を一人思い浮かべ、その人について上の項目を調べてみましょう。

 もちろん、すべて分かる訳ではありません。

 本人に聞くことができるのなら、分からない点は聞くといいでしょう。

 親しい人ならば、かなり突っ込んだ内容まで聞けるでしょう。

 かと言って、全部を調べる必要は無く、あくまでも、その人があなたの目の前にいて、語りかけるくらいまでリアルに思い浮かべられれば良いでしょう。

5)モデル人物の不満や嬉しいことをヒアリングする


 次のステップとして、ペルソナのモデルになった人に不満や、してもらったら嬉しいことをヒアリングします。

 その人が困っていることに対応し、その人が喜ぶことを提供すること、その対価が売上げになるからです。

 いかに自分が好きなこと、ワクワクすることであっても、それが困っていることの解消になったり、喜ぶことにつながらないと売上げにはつながりません。

 そのためには、困っている人をリアルに設定する、喜ぶ人をリアルに設定する、このステップがとても重要になります。

 もし、ご自分の商品がなぜか売れないということがあれば、その商品を使うことで困ったことが解消する、その商品を使うことで喜んでくれる、そんなペルソナをもう一度あぶり出し、そのターゲットに向けた告知を打つことを再考するのは如何でしょうか?(執筆者:大場保男)

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