平成31年に消費税が10%へ上がるのがタイミングとして悪い2つの理由

 2回延期された消費税の10%への増税。既に政府は2回の増税スキップを行っていますが、平成31年に消費税を10%へ増税することには、2つのやっかいな事実があります。1つ目はオリンピックとタイミングが重なること、2つ目は軽減税率が導入されることです。軽減税率の導入は特に混乱の火種となる可能性が高く、私達は事前準備を怠ってはなりません。

消費税10%増税は2回延期。それでも増税準備は着々と進む


 さて、平成29年4月までいよいよカウントダウンとなりました。

 本来であれば、この4月から始まるはずだった制度があるのですが、皆さんは覚えていらっしゃいますか?

 そうです。本来、平成29年4月は消費税が10%となるはずだった時期なのです。

 忘れている方もいらっしゃるかもしれないので、ここで振り返りとなりますが、消費税はもともと2段階で増税になる予定でした。
  • 1段階目:平成26年4月1日から8%に増税
  • 2段階目:平成27年10月1日・・・10%に増税
 これが景気の減速などの影響を受けて、2段階目が1年半後回しになり、
  • 1段階目:平成26年4月1日から8%に増税
  • 2段階目:平成29年4月1日から10%に増税
 という形に修正された後に、景気減速時に選挙を行った影響もあってか、
  • 1段階目:平成26年4月1日から8%に増税
  • 2段階目:平成31年10月1日から10%に増税
 という予定になっているのが現時点です。

 消費税が8%になってからもう3年経ってしまっておりまして、習慣というのは恐ろしいもの。

 私達は、すっかり8%の消費税を払うことに慣れてしまいました。

 そして、すっかり皆さんの多くが忘れてしまったり、意識が弱い状態なのが、消費税の10%増税への準備です。

 税務署などでは、ちゃんと2年半後の平成31年10月に合わせて、消費税増税の準備が着々と進められているのです!

平成31年に10%へ増税するのはタイミングに疑問符が付く


 ただ、今までの流れからすると消費税が増税になるかどうかは「まだまだ分からない」というのが本当のところでしょう。

 税金関係の仕事をしている私たちですら、この消費税の増税タイミングについては「???」というポイントが多いのです。

 というのも、増税が予定されている平成31年10月は西暦でいうと2019年になります。

 つまり、日本はまさに東京オリンピックの直前という時期を迎えるのです。

 日本を挙げての一大イベントの直前に、はたして消費税増税という爆弾をぶち込めるのかには、疑問点が残ります。

 もちろんオリンピック景気で経済は盛り上がっているかもしれませんが、逆に消費税増税の駆け込み需要とぶつかって大パニックになるかもしれません。

 ただでさえどの業界も人手不足ですから、もう大変だと思いますよ。

追い打ちをかける「同時に軽減税率を導入」という話


 しかも、今回の増税は単純に税率が上がるだけではありません!

 追い打ちをかけて、混乱を招きそうなのが「軽減税率」という面倒くさい複雑な制度が、併せてスタートすることです。

 専門家の立場である私がこんなこと言っちゃいけないのかもしれませんけど、これはカオスな状態になると思います。

 もうちょっと時間があるので、その間にどのような紆余曲折があるのか要チェックですね。

最短あと2年で増税と軽減税率導入!準備を怠るな


 どのタイミングで導入されるのか、これからどうなるのか分からない、とはいえ、消費税が10%に上がるということは、法律によって決定しています。

 そして、その時は最短であと2年でやってきます。

 私達は皆、消費税10%への増税と軽減税率の導入に向けて、準備しておいて損はありません。

 特に、事前の準備を行っておいた方がいい業種は「飲食店や食品を扱うお店」です。

 店内での飲食を提供しながら、テイクアウトやお弁当、お総菜なんかを販売しているお店は、8%と10%の税率が混ざりますから早めに準備しましょう。

 レジなどを買い換える際の補助金(軽減税率対策補助金)もありますが、申請の期限(平成30年1月31日)があるので遅れないようにしてください。

 なにはともあれ、世間は関西の某学園問題もあり、総選挙ムードが高まってまいりました。

 選挙となれば、消費税の増税に関する議論も大きく取り上げられるため、政治の世界で起きる動きをウォッチし続けましょう。(執筆者:鈴木 一彦 (すずき かずひこ))

【関連記事】