出前館の創業者が自社株の株価操作で逮捕!やってはならぬ株価操作6つの手口
日本最大級の出前専門サイト「出前館」を運営する「夢の街創造委員会」の株価を不正に操作した罪で、創業者の花蜜伸行被告に有罪判決が下りました。今回は創業者による株価操作が大きな話題を呼んでいますが、私達の誰もが比較的少額の資金で簡単に株価操作をやってしまえます。そこで本稿は、株価操作とみなされてしまう6つの売買手口をご紹介します。
出前館の創業者が自社株の売買操作で有罪判決
日本最大級の出前専門サイト「出前館」を運営するジャスダック上場「夢の街創造委員会」の株価を不正に操作した罪で、同社の創業者である花蜜伸行被告に有罪判決が下りました。
株式売買については、第三者が公正な判断を損ねるような売買や、株価を意図的に変動させる売買が、不公正な取引として禁止されています。
花蜜被告の場合は、
- 他人名義で買い注文と売り注文を同時に出し、同社の株価をつり上げる
- 大量の買い注文を入れ、株価を固定する
さて、今回は上場企業の創業者による株価操作であることが話題となっていますが、上場企業でも時価総額が小さく、出来高(売買)の少ない企業の株価は、少額の資金でも比較的容易に株価操作することが可能です。
皆さんの中でも株式投資をやられていて、証券会社から「不公正取引の注意喚起」なるお知らせをもらった方がいらっしゃいませんか?
実は、自分では違法行為を行う意識が無いのに、株価操作を行ってしまうケースがあるのです。
そこで本稿は、やってはならない6つの株価操作手口をご紹介したいと思います。
株価操作とみなされてしまう6つの売買手口
1)売り注文と買い注文を同一時間に同値で出して売買する
同一人物が同一銘柄の売り注文と買い注文を同一時間に同値で売買することは「架空売買」の禁止行為として判断されます。
例外的に、信用の期日の決済に絡んだ売買などは認められますが、寄り付きや引けに行うことが必要で、取引時間中に指値注文や成り行き注文で行うと、「買い上がり(売り下がり)クロス」として相場操縦とみなされる場合があるため注意が必要です。
基本的に、自分の注文を自分の注文で約定させることは、その必要性が認められない場合は禁止行為と認識しておきましょう。
2)継続的に大量の買い指値注文を入れる
通常の出来高に比較して圧倒的に大きい買い指値注文を継続的に入れ続けることも、価格変動要因となるため「見せ玉」の禁止行為として証券会社から注意を受けます。
3)30%以上の売買シェアを3日間継続する
一日の出来高に対して30%以上の売買シェアを3日以上継続しても、価格に変動を与える注文として注意を受ける場合があります。
この場合、注意を受けても従わなければ口座を停止されることがあります。
4)第三者との間で「なれ合い売買」を行う
第三者と売買の別、価格などを予め相談し合って注文を約定させ、出来高が多くなるように見せかける売買も「なれ合い売買」として禁止行為とされます。
5)空売り規制にひっかかる空売り行為
空売り規制と言う禁止行為もあります。
現在の株価より安い価格で新規売り注文を出す場合は、一定のルールがあるのでチェックが必要です。
6)引け前の大量注文
さらに、大量の注文を発注する場合、なるべく大引けの15分前までに行いましょう。
大量注文で引け値を変動させてしまうと「引け関与」として注意を受けますし、連続して引け値に関与すると株価操縦に認定される場合があります。
悪意の無い遊び感覚で行う株価操作も全て違法
株式投資は心理戦の側面を持っており、悪意は無くとも株式ボードを見ると“ついつい”「遊び感覚」で、無意識に株価操作を行ってしまう人がいます。
しかし、相場を意識的・人為的に変動させたり、あるいは一定水準の価格に固定させたりして、その相場があたかも自然の需給関係を踏まえて成立しているかのように、他人を誤解させることによって、その相場の変動などを利用して利益を図ろうとする行為は、全て相場操縦的行為とみなされてしまいます。
以上を踏まえて、適正なルールの元で株式投資に取り組み、健全な資産運用を行いましょう。(執筆者:藤ノ井 俊樹)