値引き販売時に表示する「通常価格」が妥当とみなされる要件は?

 「通常価格」は、値引き販売時の価格を消費者に「お買い得」だと思ってもらいたい時に、比較対象として頻繁に活用されます。ところが、この「通常価格」という表記も、正しい使い方をしなければ景品表示法違反の対象となります。直近、措置命令が行われた、日本教育クリエイトの例から「通常価格」の誤った使い方を確認しましょう。

値引き販売時に表示する「通常価格」にご注意を


 価格表記について「通常価格」という表記をよく見かけますよね。

 たとえば、「通常価格20,000円のところ、キャンペーン期間中につき8,000円でご提供」といった具合で、値引き販売時の価格が消費者にとって「お買い得」だと思ってもらえるよう、「通常価格」という言葉がよく使用されます。

 ところが、この「通常価格」という表記も正しい使い方をしなければ、消費者に有利誤認を与えているとみなされ、景表法違反となる可能性が生じます。

 直近でも、コスモ石油販売(株)が提供する自動車の車検サービスに関する表示に対し、「通常価格」を悪用した景品表示法違反による措置命令が下っています。

 また、消費者庁は5月19日に、(株)日本教育クリエイトが「三幸福祉カレッジ」の名称で提供する介護資格講座や、「日本医療事務協会」の名称で供給する医療事務の講座に関する表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。

 その内容は、上記にあげた値引き価格と対比して表記された「通常価格」が、提供実績のない二重価格として有利誤認表示と認定されたというものです。

 詳細を確認し、景品表示法上の「通常」価格と表示してよい販売期間の考え方について、確認しておきましょう。

日本教育クリエイトの例から通常価格の誤った利用例を見てみよう


表示媒体・期間


 自社ウェブサイト

表示期間


 平成28年1月30日~平成28年11月11日

違反内容


 同社の広告では、上記の表示期間に、「通常受講料」又は「定価」と称する価額が、あたかも日本教育クリエイトが通常提供している価格であり、実際の受講料が通常提供している価格に比して安いかのように表示されていました。

 ところが実際は、「通常受講料」又は「定価」、「通常価格」と称する価額は、日本教育クリエイトにおいて、最近相当期間にわたって提供された実績のないものであり、これが景品表示法の有利誤認表示とみなされました。

表示例(一部抜粋)


 介護職員初任者研修については、「通常受講料120,000円⇒最大受講料半額以上もお得!59,500円~(教材費込・税別)」と記載がありました。

節約社長
株式会社日本教育クリエイトに対する景品表示法に基づく措置命令について

 また、医療事務通学講座についても、「通常価格55,000円⇒42,700円(教材費込・税別)」と記載がありました。

節約社長
株式会社日本教育クリエイトに対する景品表示法に基づく措置命令について

最近相当期間にわたって販売された実績がなければ「通常価格」表示は不当な可能性あり


 今回の事案で有利誤認とみなされたポイントは、不適切な二重価格による「通常価格」表示です。

 二重価格表示を行う際、比較対照価格として「通常」価格と表示するには、最近相当期間にわたって販売された実績が必要となります。

 なお、今回の処分について同社は、以下のように謝罪告知を行っています。

 参考リンク:お詫びとお知らせ(株式会社日本教育クリエイト 2017年5月18日)

 セールなどで値引き販売を行う際に「通常価格」と表示をする場合には、自社の過去の販売状況を確認し、事実に基づき、正しい価格表示に務めましょう。(執筆者:久保 京子)

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