新規事業で資金が必要!ならば私募債で資金調達するのはいかがでしょう?

 ある程度の収益は見込めているけれど、手元の資金だけで賄うことが難しそう。けれど、スピーディにまとまった資金が必要となる。新規事業を始めようとする時には、こんなケースがあります。このような時に検討してもらいたいのが、私募債による資金調達です。私募債によって資金調達する3つのメリットをご紹介します。

新規事業で資金調達が必要!私募債はいかが?


 起業する際や、新会社を設立する際に、まとまった資金が必要となるケースがあります。

 たとえば、フランチャイズへの加盟、入居テナントへの初期投資、最初からある程度高度なシステムを導入したサイトの運用を行う場合などです。

 ところがここで問題発生です。

 ある程度の収益は見込めているけれど、手元の資金だけで賄うことが難しそうなのです。

 ビジネスはスピードが命なのに、銀行との融資交渉には時間がかかり、補助金は事業に投資した額へ一定の割合で後払いが行なわれる制度のため、今回のようなケースでは使えません。

 このような時に検討してもらいたいのが、私募債による資金調達です。

私募債で資金調達を行う3つのメリットとは?


 私募債とは「募集人数50人未満の少人数に発行される社債」のことで、主に株式会社が小規模な資金調達を行うために活用される資金調達方法です。

 以下、私募債を発行する3つのメリットをご紹介しましょう。

1)支払利息を損金算入できる


 私募債を利用する大きなメリットの1つ目は、税務上のメリットです。

 一般的な借入は借入金を分割で返済しならがら、利子を払うというのが一般的ですが、私募債の返済方法は一般的な借入と異なります。

 対して、私募債は利子を毎月支払い、最後に全額を支払います。
 
 通常、株式の配当は損金算入できず、課税後に配当という形になりますが、私募債の支払利息は損金算入、つまり経費扱いできます。

2)キャッシュフローに余裕ができる


 また、銀行借り入れなど金融機関から資金調達した場合、返済と利息の両方を支払っていく必要があります。

 対して、私募債では一括償還つまり期間満了時に一括で返済するケースも多く、毎月の支払も利息のみでOKです。

 これによりキャッシュフローに余裕ができ、軌道に乗るまでの期間で支払に苦しむということが少なくなります。

3)発行コストが安く済む


 私募債は前述の通り、「募集人数50人未満の少人数に発行される社債」であるため、金融機関を介した募集などを行う必要がありません。

 したがって、私募債を発行するコストは、通常の社債を発行するコストと比較して安く済みます。

私募債は貸し手側にもメリットが複数発生する


 私募債による資金調達で、借り手がこのようなメリットは受けられるのは、利率や償還期限が自由だからです。

 また、私募債には貸し手側にもメリットがあります。

 たとえば、通常の金融機関と比較して利率が良いことがあげられます。案件をよく見極めれば高リターンを得ることが可能です。

 さらに、商売で嫌なことの1つに、身内や知り合いとの金銭やり取りでトラブルが起こりやすくなることがあります。

 私募債を発行する場合は、一定の条件下で交渉を行うことができますから、これらの人に私募債を募る場合であっても、相手を安心させやすくなるでしょう。

 ただし、一定の期限(2年〜5年程度に通常は設定される)で私募債の元本は償還されることになりますから、やはり最終的な償還時にキャッシュが生まれている必要がある点は注意が必要です。(執筆者:吉住 幸延)

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