18歳未満の高校生をアルバイトで雇う際に気をつけるべき4つの点

 夏休み真っ盛りの高校生(18歳未満の年少者)をアルバイトとして雇用している場合、労働基準法は年少者を保護するために、様々な規制を企業に対して課しています。そこで本稿は、年少者を雇用する際に踏まえておくべき保護規制や注意点を4つご紹介しようと思います。若い力を活かすために労働基準法をしっかり遵守したいですね。

高校生をはじめとする18歳未満の年少者のアルバイトには保護規制がある


 高校生にとって、今のシーズンは夏休み真っ盛りですね。

 高校生のお子さんをお持ちのご家庭では、お子さんが夏休みを生かしてアルバイトをされている場合もあることでしょう。

 サービス業を中心に、夏休みの高校生にアルバイトで働いてもらっている企業様もあるかもしれません。

 さて、一概に“高校生”だけでくくるものではありませんが、労働基準法には、18歳未満の人(年少者といいます)を保護するための規制があります。

 高校生は年少者の年齢に該当するケースが殆どですから、年少者に関する規制を踏まえた雇用を行わないと、労働基準法違反になることもあります。

 そこで本稿は、年少者を雇用する際に踏まえておくべき保護規制についてご紹介しようと思います。

年少者をアルバイトで雇う時に労働時間で気をつけるべき2つの点


 年少者である労働者に対して、労働基準法は、通常の労働者よりも更に厳しい保護規制を敷いています。
 
 特に、年少者に関する労働時間の規制は厳しく、代表的なものをあげると以下の通りです。
  • 1)1日8時間、1週40時間を超えて働かせることの原則禁止
  • 2)深夜時間帯に働かせることは原則禁止
 個別項目ごとにご説明します。

1)1日8時間、1週40時間を超えて働かせることは原則禁止


 飲食店の場合、人数がそれほど多いところでなければ、常時10人未満の労働者を使用する一部の業種に認められる、労働時間を1週44時間までとする特例をとっている場合が多いでしょう。

 しかし、年少者の従業員については、この特例を当てはめることはできません。

 事業場が1週44時間の労働時間制を取れるとしても、未成年者の労働時間は1週あたり40時間以内を守らなくてはなりません。

 また、業務の繁閑に合わせて、労働時間の弾力的な運用をする変形労働時間制を採用される場合もあります。

 この変形労働時間制についても、年少者については、フレックスタイム制も含めて、原則として適用が禁止されます。※

2)深夜時間帯に働かせることは原則禁止


 年少者を雇用する者は、原則的に年少者を深夜時間帯に働かせることができません。

 深夜時間帯とは夜10時以降朝5時までのことを言います。(特定の地域や期間によって、夜11時から朝6時まで)

年少者をアルバイトで雇う時に契約・給与支払い面で気をつけるべき点


 年少者を雇う際には、労働時間はもちろん、雇用契約や給与支払に関しても注意すべき点があります。

3)労働契約は本人と結ぶが法定代理人の同意が必要


 未成年者であっても、労働契約は親ではなく本人と結ぶ必要があります。

 ただし、未成年者が労働契約を締結するには、法定代理人(親権者または後見人)の同意が必要となります。

 採用を行う際は身元保証書を取る会社が多いかと思いますが、未成年の入社について同意を得るために、親権者から身元保証書を取るのが賢明かもしれません。

4)給与の支払は本人に必ず行う


 労働基準法は、給与の支払について、「賃金の直接払いの原則」というものを設けています。

 この規定には例外が設けられておらず、年少者だからと言って、親が本人に代わって給与を受け取ることはありません。

 若い年少者が元気よく働く職場は活気づきますが、年少者に対して労働基準法が設けた制限を正しく守り、彼らの力を活かしてもらえるようにしたいですね。


※備考

中学校卒業後(=満15歳に達した日以後の最初の3月31日後)である年少者については、次の場合に限って変形労働時間制が認められます。

・1週間の労働時間が40時間労働時間を超えない範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合、他の日の労働時間を10時間まで延長すること。
(例えば、通常1日8時間×週5日で40時間を、1日10時間×週4日にすることができます)

・1週間について48時間以下、1日について8時間を超えない範囲内において、1か月単位または1年単位の変形労働時間制により働かせること。
(例えば、期間を4週間ごとに区切り、1週目と2週目は1日8時間で週6日、3週目と4週目は1日8時間で週4日とすることができます)(執筆者:渡邉 大)

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