豪雨など自然災害で請求書や帳簿が無くなったらどうすれば良い?

 7月には、九州北部、秋田県などで記録的な豪雨となり、これによって家屋の浸水や土砂災害が発生しました。会社のオフィスや事務所がこれらの災害で被害を受けた時に、保存していた帳簿や請求書等を紛失してしまった、もしくは白紙になってしまったとしたら、どうすれば良いのでしょうか?

豪雨の影響で事務所に被害!帳簿もボロボロ…


 ここ最近、毎年のように天災と言える自然災害が各地を襲っています。

 7月には、九州北部、秋田県などで記録的な豪雨となり、これによって家屋の浸水や土砂災害が発生しました。

 会社のオフィスや事務所がこれらの災害で被害を受けた時に、保存していた帳簿や請求書等を紛失してしまった、もしくは白紙になってしまったとしたら、どうすれば良いのでしょうか?

 たとえば、消費税を計算する場合の仕入税額控除の適用については、これらの資料保存が原則的に要件とされています。

 災害により会計処理に必要な資料を保存できなかった場合に、何か救済措置は設けられていないのでしょうか?

災害などやむを得ない時は帳簿や請求書が無くてもOK


 災害等やむを得ない事情により課税仕入れ等の税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存できなかった場合、帳簿及び請求書等の保存がなくても仕入税額控除の適用を受けることができます。(消費税法第30条第項7)

 納付すべき消費税の計算方法は、課税売上(消費税がかかる売上)に係る消費税額から課税仕入れ等(消費税がかかる支払)に係る消費税額を控除して税額を計算します。

 この時の課税仕入れを仕入税額控除と言います。

 通常、この仕入税額控除を適用する際には、その課税仕入れ等に係る帳簿及び請求書等を保存している必要があります。

 これは「請求書等保存形式」というもので、帳簿及び請求書等を7年間保存することが義務とされています。

 震災等の事故の責任によらず発生した災害によって被害を受けたことにより、必要な帳簿及び請求書等の保存ができなかった課税仕入れ等については、通常の場合と同様に仕入税額控除を適用することが認められています。

万が一に備えて例外規定を覚えておくのが得策


 自然災害は自分の身に降りかかるまで、どれだけ企業活動に大きな影響を及ぼすか理解しにくいものです。

 だからこそ、平常時にこれらの異常事態が起きた時、どのように対処すればよいかを知識として知ることは賢明です。 

 やむを得ない事情により被害を受けた個人又は法人に対しては、通常の制度とは別に特例規定や救済制度が設けられておりますので、活用することをお勧めします。(執筆者:北村 光宏)

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