紹介料を「誰に支払っても」堂々と費用にするための3つの条件

 誰か(個人:知り合い、一般の人)に仕事をあっせんしてもらった際に支払う紹介料は、原則的に交際費になります。ただし、交際費は原則として年間800万円までしか損金算入が認められておらず、紹介料が莫大な額になれば、この用途以外に交際費を活用できなくなる場合もあります。そこで本稿は個人に支払った紹介料を交際費以外の項目で全額損金に参入する方法をご紹介します。

個人へ支払う紹介料を交際費で計上することの盲点


 先週、「紹介料を現金で要求されたが果たして我が社はどう対応すべきか」という記事が掲載されていました。

 この記事では、誰か(個人:知り合い、一般の人)に仕事をあっせんしてもらった際に支払う紹介料は「原則的に交際費になる」と提示されています。

 実際、この内容は正しいですが、紹介料を全て交際費で処理してしまうことには盲点が1つあります。

 交際費は原則として年間800万円までしか損金算入が認められていない、という盲点です。

 数十万円、数百万円の仕事あっせんに対する数%の紹介料支払いならまだしも、数千万円〜数億円にもなる仕事のあっせんに対する紹介料の支払を交際費で処理してしまうと、その年はそれ以上交際費を活用できないことになってしまうのです。

 そこで本稿では、仕事をあっせんしてもらった際に支払う紹介料を、交際費以外で全額損金にする方法を、紹介記事へのアンサーとしてご紹介しようと思います。

個人へ支払う紹介料を交際費以外の項目で計上するために満たすべき3つの要件


 紹介料については、次の3つの条件を満たせば交際費ではなく、「情報提供料」などで全額を損金にすることも可能です。

(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。

(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。

(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。

法人税基本通達61の4(1)-8
 う〜ん、わかりにくい!(笑)

 噛み砕いて、以下ご紹介させていただきましょう。
 

条件1.あらかじめ契約を交わしておくこと


 「紹介してくれそうな人と、事前に契約を交わしておくこと」が必要な条件の一つです。

 いきなり難易度が高そうですが、これは契約書を交わすほか、チラシを配ったり、ポスターを貼っておいたり、ホームページなどに掲載しておいたり、といった方法でも認められます。

 税務調査でなんとしても交際費と認められたくない社長さんは、「実際にこの期間に掲示しておいたんだよ」ということがわかるようポスターなどを日付入りの写真で撮っておくと、証拠としてはよりOKです。

2.その紹介の内容が契約で具体的に明らかにされていること、そして実際の紹介がその内容と一致していること


 要は、
  • ・具体的にこういう人(案件)を紹介してくれたら
  • ・いくら支払いますよ
 など紹介料の具体的な条件が、上のチラシやポスターに具体的に載っていればOKです。

 載っていても、たとえばチラシに載っている条件と全然別の人を紹介してもらったのに紹介料を支払うのはNGです。

条件3.金額が妥当であること


 これはそのままですね。

 100万円の案件紹介してもらって100万円の紹介料払うのはおかしいよね、ということです。
 
 あとは、その業種や紹介してもらった案件の内容で決まるので、具体的に何%ならOK、などという基準は特にありません。

紹介することを仕事とする人に本案件は関係なし


 なお、そもそも「紹介すること」を商売としている人(たとえば不動産会社に支払う仲介手数料)に紹介料を払った場合は、上の条件も不要で、当然に「情報提供料」などとして全額を損金とすることができます。

 一般の人とか、知り合いとか、そういう方に紹介をしてもらうときで、なおかつ交際費にしたくない場合にはこの条件が必要、ということですね。

 この際の勘定科目は「情報提供料」、「紹介料」「販売手数料」「支払手数料」などいずれもOKです。

 いかがでしょうか?参考にしてみてください。(執筆者:谷口 孔陛)

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