中島みゆきのヒット曲に学ぶ~顧客の心を動かす強力な2つの心理トリガー

 「化粧」「狼になりたい」「うらみ・ます」「悪女」。。。中島みゆきが若い頃に連発したヒット曲の歌詞には、人の心を動かす強力な2つの心理トリガーが隠されています。その心理トリガーは、普段の生活では誰もが心の奥底に秘めておくものであり、いざ喚起されると、その人を強烈に行動へ導きます。ビジネスでも2つの心理トリガーを上手に活用すると、お客様から熱烈な支持を得られるようになります。

中島みゆきのヒット曲には共通点が存在する


 こんにちは、ブリッジワークの高橋です。

 昨日タクシーに乗っていたら久々に、中島みゆきさんの「化粧」という曲が流れてきまして、思わず聴き入ってしまいました。

 この曲は1978年に発表された、「愛してると言ってくれ」というアルバムに収録されている、中島みゆきさんを代表する1曲なんですけども、この歌詞の内容が凄いわけです。

 気の弱い男性が聞いたら、尻尾を巻いて逃げて行くんじゃないかというぐらい。

 失恋した女性の情念みたいなものが本当に生々しくストレートに綴られていて、その迫力にちょっと僕達はビビッてしまうくらいなんですよね。

 注目してほしいのが、この曲のクライマックスで歌われている歌詞。

今夜死んでもいいから綺麗になりたい

こんなことならあいつを捨てなきゃよかったと 最後の最後にあんたに思われたい
 実はですね、この歌詞の中には人の心を激しく揺さぶる「二つの心理トリガー」が存在しているんです。

 もし、貴方がこの二つの大きな大きな要求を満たす事が出来たら、本当にお客さんから大きな支持を得ることになります。

 既にお気づきになった方は、かなりマーケティングのセンスがある方かもしれません。

人の心の奥底に眠る2つの強力な心理トリガー


 はい、二つの激しく心を揺さぶる心理トリガー、それは、
  • 『○○だと人から思われたい』『××だと人から思われたい』:他人からの承認欲求
  • 『××になって誰かを見返してやりたい』『復讐したい』:他人への復讐欲求
 の二つです。

 僕達は繋がりを重要視する社会的な動物です。だから、行動する時には常にどこかで他人の目を意識してるんですね。

 一人で意思決定をしているように思える購買活動においても、これは全く同じこと。

 「頼れる上司と思われたいから、パリッとした高級スーツを買う」「彼に綺麗と言われたいからこの口紅を買う」

 このように、私達の購買行動には常に他人の目線が何らかの影響を及ぼしています。

 嗜好品の中でも特に洋服なんか、モロにそういう要素が強いんじゃないかなと思います。

 自分のスタイルを表現するとかと言いますけども、本心は皆「人からこう思われたい」と考えて洋服を選ぶ場合のほうが多いですよね。

 そして、『××になってあいつを見返してやりたい』という欲求も、これ実はとても他人を意識した欲求です。

 「私がピアノの前に座るとみんな笑った。でも弾き始めると・・・」

 これはジョンケープルズという方が90年以上前に書いた、あまりにも有名なヘッドライン(見出し)なんだけれども、未だにこのフォームは真似されています。

 なぜならここで表現されてるテーマは『復讐』であり、復讐欲求は人間にとってもの凄く大きなテーマなんですね。

 ケープルズのヘッドラインに登場する私は、ピアノを弾き終わったあとに、「どうだ!驚いた!?俺だってピアノぐらい弾けるんだぜ!へッ!」と思った事でしょう。

 この『復讐』欲求 も、実は誰の心の中にもあるわけですよ。

 僕達は多かれ少なかれ、どこかで挫折だとか、人からバカにされた事があるはずです。そこで追った傷の大きい小さいはあったとしても、皆その傷を払拭するために、何らかの形で復讐したいんですね。

 彼から見た目が嫌だと言われた女性が、お化粧や手術で綺麗になろうとする。上司に無能と呼ばれた部下が学校で勉強して転職する。

 こういった人生の復讐ドラマに絡むビジネスって山ほどありますよね。

 直接的に復讐できなくとも、人は復讐に好感を覚えます。

 古くは山椒大夫、忠臣蔵然り、嵐が丘、白鯨しかり、復讐をテーマにしたストーリーに多くの人が魅了されているのが、何よりの証拠です。


  • 「人から××と思われたい」
  • 「××になって 人を見返してやりたい」
 この二つの欲求は、普段の生活で人の心の奥底に眠っている(閉じ込められている)ものですが、トリガーを引かれるともの凄く大きな作用で威力を発揮します。

 もし、あなたの商品やサービスが二つの心理トリガーを満たす事が出来たなら、きっとあなたのお客さんはあなたの事を信頼出来るパートナーとして認めてくれることでしょう。

 ちなみに、中島みゆきさんの若い頃のヒット曲は、「狼になりたい」とか「うらみ・ます」とか「悪女」とか、タイトルを聞くだけで我々男性陣が震え出してしまうような曲ばかり。

 最近は「地上の星」とか 「ヘッドライト・テールライト」のような人類賛歌が多いですけれども、彼女の道を切り拓いた曲はいずれも、女心の愛憎を描いているんですね。

 ぜひ一度、あなたの商品についても、いまいちお客さんに刺さっていないと思うのだったら、「××だと人から思われたい」「××になって誰かを見返してやりたい」という視点からリーチするターゲットはいないか、ターゲットへのアプローチはどのようにしたら良いか、など考えてみてくださいね。

 これが出来たら、あなたも中島みゆきばりのヒットメーカーになれると思いますよ。


 
(執筆者:高橋 伸夫)

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