吉村司

リフォームソムリエ代表理事

リフォームは「仕方なく」から「楽しく」の時代に。

 はじめまして、リフォームソムリエ協会(RESOA)代表理事の吉村です。皆さんは、リフォームというとどういったイメージをお持ちでしょうか。おそらく「家が壊れたから仕方なくするもの」というイメージをお持ちの方が多いと思います。少なくとも「楽しい」というイメージをお持ちの方は少ないのではないでしょうか。

 ただ、ここで考えてみてください。人間の生活に必要な3要素は「衣・食・住」です。その中で衣と食については、自分の思い通りに作ったり、アレンジしたりして楽しんでいるのに、こと「住」に関しては、私たちは楽しんでいないと思いませんか。
欧米では、当たり前のように、家族のライフステージが変わるタイミングで内装やキッチン、ダイニングをリフォームして、より快適な生活を求めて楽しんでいます。違いは市場規模にも表れています。日本は総世帯数が約5700万世帯でリフォーム市場規模は年間約6~7兆円ですが、アメリカは日本の2.5倍の世帯があるとはいえ、実に40兆円に迫る規模です。欧州はどうでしょう。ドイツは日本よりも世帯数が少ない約4000万世帯ですが、市場はなんと約25兆円もあります。

 私はこの違いは「住まいに興味や関心を持っているかどうか」の差だと考えます。住まいに興味があれば積極的に学ぼうとします。学べば、リフォーム自体の楽しさが理解できるようになります。ですから、私はこの「リフォームソムリエ」資格を通じて、皆様に住まいやリフォームに興味を持っていただくきっかけとしていただければと考えています。

 さて、皆様は「野菜ソムリエ」という資格をご存知でしょうか。野菜ソムリエは現在5万人を超える資格取得者がいますが、私はその創設メンバーの一人でもあります。野菜は、健康のためにとても大事な食物ですが、栄養のために仕方なく食べている人も多いことでしょう。その「仕方なく」を「楽しく」に変えたい。それが野菜ソムリエの創設理由の一つでした。
リフォームも野菜と同じです。壊れたから、雨漏りするから、汚れたから「仕方なく」するリフォームを、「楽しく」に変えたい。リフォームソムリエは、そんな思いを形にするための資格です。

 今までの日本の住宅流通は、新築中心で形成してきましたが、少子高齢化や人口減少といった社会状況の中、今後は既存住宅流通中心に確実にシフトしていくものと思われます。それに比例して、リフォームニーズも大いに拡大していくことでしょう。すると、良からぬ業者も現れるかもしれませんが、リフォームソムリエを目指される皆様は、住まいについての正しい知識を身につけて、ぜひそういう業者を退治していただければと思います。それが実現できたとき、地域にとって、業界にとって、そしてなにより自分自身にとってこれほど有益なことはございません。住まいに興味を持ち、リフォームの楽しさを伝える担い手が一人でも増えることを心から望んでおります。

石川県金沢市生まれ。東京大学経済学部卒。
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日商岩井株式会社(現 双日株式会社)にて国際ビジネスと米国駐在を経験。
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食品専門商社にて社内起業(ヘルスケアビジネス)。
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日本野菜ソムリエ協会の起業メンバー・役員(理事)として、協会の立ち上げと経営、食育ビジネスを経験。
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日本野菜ソムリエ協会(会員数5万5000人)の成功で蓄積したスキルとノウハウを生かし、「協会」の支援事業を始める
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リフォームソムリエ協会代表理事就任