介護事業で開業時に必要資金を把握する上で確認したい3つの点

 介護事業で開業する際に質問が多くなる事項として、「どれだけの資金を最初に準備するべきか?」というものがあります。しかし、その額はそれぞれがおかれた状況によって大きく変化します。そこで、個々が必要とする開業資金の額を計算するために、最初に確認すべき3つの点をご紹介します。

介護事業の開業資金は人によって額が変わる


  介護事業の開業に当たり、どれだけの資金を準備したらいいでしょうか?

 介護事業を検討される方から、一番聞かれる質問の一つがこれです。

 ところがこの質問、お答えするには、なかなか難しい質問です。条件によって変わってくるからです。

 そこで私は、訪問介護なら500万円~1000万円ぐらい、デイサービスなら1000万円~3000万円ぐらいと答えています。

 この数字は、今まで開業支援させて頂いた方々が開業されたときの資金を参考にしたものです。

開業にあたって必要な資金を把握する上で確認しておきたい3つの点


 開業資金に幅があるのは、前述の通り、条件によって必要な資金の額が変わってくるからです。

 具体的に幅が生じる主な3つの要因は、
  • 1)人件費
  • 2)設備費
  • 3)新規利用者の獲得状況
 といった、開業時にに関する諸条件が異なることに起因します。

 人件費について言えば、ご自身が資格をお持ちであるか、ご家族や友人などが資格をお持ちで、開業して軌道に乗るまでは安い給料でやってもらえるか?

 デイサービスでは、浴室や厨房設備、機能訓練用設備などに、どれだけ費用をかけるのか?

 こういった諸条件の違いで、全くその費用が変わるのです。

 更に、新規利用者の獲得がスムーズに進めば、売上が増えて入金も増えるので、どれだけ新規採利用者を獲得できるかの予測は、開業時に調達すべき資金を計算する時に考慮すべき重要なポイントになります。

自己資金を多めにし借入は自己資金の2倍以下


 以上3点を詰めていって、調達すべき資金が分かると、次は自己資金で賄えるか判断します。

 ほとんどの方が自己資金では賄えず、どこかで借り入れされます。

 例えば、家族や友人から借りるとか、日本政策金融公庫から借りる、民間金融機関から借りるなどです。

 この中で一番多いのが、日本政策金融公庫からの借り入れです。

 必要な調達資金-自己資金=必要な借入資金になります。

 日本政策金融公庫から借りるなら、借入資金は自己資金の2倍以下にしましょう。それ以上借入するなら担保や保証人が必要になるからです。

 自己資金が多いほど借入できる資金も多くなりますので、開業するに当たっては、給料から毎月コツコツと貯めた貯金を自己資金とするよう、時間をかけて貯めて下さい。(執筆者:松本昌晴)

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