お酒で損する日本人〜飲み過ぎによる経済損失はなんと4兆円!

 厚生労働省研究班の調査によると、飲酒を原因とする疾病治療や労働力損失、生産性低下などを合計した社会的コストは、なんと4兆円に到達すると推測されています。お酒の宴は確かに楽しいものですが、お酒が生み出すトラブルや、お酒に呑まれることで生じる損失にも、しっかりと目を向ける必要がありそうです。

お酒の飲みすぎによる日本の経済損失は4兆円


 すっかりシーズンは夏入りの様相となり、冷えたビールやお酒の旨い季節となりました。

 ハードな仕事終わりの夜ともなれば、外飲みはもちろん、ビアガーデンや居酒屋でグビッと飲む最初の一杯は本当に美味しいですよね。

 お酒は適度に飲めば、気分がよくなったり、疲れを癒やしてくれるものとなりますが、逆に飲み過ぎたり、酩酊状態となれば、悪影響を私達に及ぼすものとなってしまいます。

 実際に、厚生労働省研究班の発表によると、飲酒による脳卒中やがんなどの治療費や病気、死亡による労働力損失、生産性低下などを合計した社会的コストは2008年の時点で、約4兆1500億円にもなると推測されています。

 参考リンク:アルコール関連問題の社会的損失の推計

 これがどれほど大きな損失かというと、同年の酒税1兆4680億円と比較すれば、国全体で考えた時に、お酒を飲むとむしろマイナスということになります。

 従って、日本政府の、飲酒による病気や死亡者の人数を減らし、適度な飲酒を推奨したい、という本音もある程度理解できるのではないでしょうか。

日本人の適正な飲酒量は一体どれくらいか?


 さて、このようにお酒による税収を社会的コストが上回る一方、OECDの調査によると、それでも、日本のアルコール消費量は先進国の平均を下回っています。

 更に、国内で見ると、最も飲酒量が多い20%の人々がアルコール消費の70%を占めているという結果も出ています。

 2:8のパレート法則が、しっかりとお酒の経済でも成り立っているようです。

 しかし、これ、裏を返せば、日本が他の先進国よりもアルコール依存症や病気など、ヘビードランカーの抱える問題が深い傾向にあることをも意味していることになります。

 ならば、翌日の仕事や今後の健康に支障をきたさない適正な飲酒量は一体どれくらいなのでしょうか?

 厚生労働省によれば日本人は、西洋人と比べてアルコール代謝が低い傾向にあり、日本人の1日の推奨アルコール量は20gとされています。

 アルコール20gはだいたいビール中瓶500mlを1本、日本酒なら1合とされています。

 参考リンク:厚生労働省:「健康日本21」アルコール

 お酒が大好きな人には「それじゃあ足りない!」と思うような、少なすぎる量かもしれませんが、実際の適正量はこのように見積もられているのです。

お酒の飲み方はルール決めを先に行うのが得策


 とはいえ、何事も過度にお酒を害悪と決めつけるのも、行き過ぎた話です。

 もしも、お酒を飲んだ次の日は仕事が辛い、お酒を飲み過ぎると失敗しやすい、という傾向があるならば、お酒を飲む際はルール決めを行うのが有効です。

 たとえば、社内や外部の人と会食などでお酒を飲む時に、「お酒は2杯まで」などのルール決めを行うのは賢明でしょう。

 また、
  • 1杯目は量を少なくちびちびチェイサーと飲めるものにする
  • 空腹で悪酔いしないように小腹を先に満たして飲み会に参加する
  • 帰る時間を先に決めて飲み会に参加する
 など、アルコールによる負荷を避ける飲み会への参加ルールを決めておくのも鍵です。

部下へのアルコールハラスメントは絶対禁止


 それからもう1つ、私達がお酒による生産性低下で注意すべきことがあります。

 それは、お酒に関して自分のルール決めはもちろん、他人へのアルコールハラスメントを絶対にしないと誓うことです。

 イッキ飲みはもちろん、飲み会などでお酒を無理に勧めることは、「アルコール・ハラスメント」と言い、度が過ぎて訴えられれば、刑法の強要罪で逮捕される行為です。

 特に、会社の飲み会では、本当はお酒が弱い部下がいるにも関わらず、「身内の関係」という甘い考えの元、未だにお酒を強要する上司がいます。

 たとえ、飲み会の席だとしても、お酒を飲むか飲まないかは、個人の権利として選択を自由にするべきでしょう。

二日酔いを防止せよ!二日酔い対策4選


 最後になりますが、翌日の仕事のため、休日を無駄にしないために効果的な4つの方法をご紹介します。
  • 脱水防止にソフトドリンクを飲みながらお酒を飲む
  • 飲む前にスプーン1杯のオリーブオイル、バターなど油分を取る
  • スープやみそ汁など塩分を含むものを食べる
  • スポーツドリンクやオレンジジュースなどを積極的に飲む
 お酒を飲むと、アルコールの利尿作用で、体内から水分不足やミネラルが失われやすいため、アルコールの吸収を妨げる油分を摂取したり、水分補給とミネラル補給をすると二日酔い防止につながります。

 また、スープや味噌汁、スポーツドリンクやオレンジジュースなどは、飲酒で失われた水分やミネラルを摂取し、なるべく早く治るよう助けてくれます。

 何事も腹八分目、酒は飲んでも飲まれるな、ということで、楽しいお酒の時間を過ごしましょう。(執筆者:株式会社iCARE)

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