なぜ私達は「ネコ」を愛してしまうのか〜科学で理解するベビーフェイスの示唆

 なぜ私達はネコにこれほど無条件な愛を感じてしまうのでしょうか?あのずんぐり丸い顔の真ん中にあるくりんくりんの目で見つめられ、キュン死にした経験をお持ちの方もいらっしゃるのでは?!実は、私達はネコの顔から赤ちゃんの顔を連想しています。科学的にもこのことが一定の法則性と共に明かされています。人間の感性の不思議に迫ります。

なぜ私達はネコをこれほど愛してしまうのか?


 こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。

 下記の記事で以前、現在起きている空前のネコブームについての考察を行いました。

 参考リンク:アベノミクスが駄目ならネコノミクスで節約して活路を切り拓け

 今回は、「なぜネコが愛されるのか」という点について、「顔」の視点から掘り下げてみたいと思います。

 さて、キティちゃんやドラえもんなど、人気キャラクターの顔を思い浮かべてみてください。

 これら人気キャラクターの顔におおむね共通する特徴としては、体に比べて頭が大きい、丸顔である、目が離れ気味である、といったところが挙げられます。

 こうした顔立ちを見たとき、私たちはあるものを無意識に感じているのですが、それがなんだか読者の皆様はおわかりでしょうか?

私達はネコの顔から赤ちゃんの顔を連想してる


 私たちがネコの顔を見た時、無意識に連想しているもの、それは赤ちゃんの顔です。

 赤ちゃんの顔を見ると、「かわいい」という好意的な感情が生まれますが、これは、人間という「種」の存続のために、赤ちゃんは大切で守るべき存在、育てるべき対象であることと関係しています。

 私たちは、赤ちゃんを見て「かわいい」と感じることが、積極的に守る、育てるといった行動を起こす動機(モチベーション)になっています。

 実はこれ、私たちの遺伝子が、親が子をちゃんと育てるように、赤ちゃんに対して「かわいい」という気持ちを起こさせるように仕組んでいると言えるでしょう。

 したがって、人の赤ちゃんでなくても、赤ちゃんを連想させるような顔立ちをしたキャラクターや動物に対しても、無意識の好感をいだくようになっているわけです。

 成人でも、子供の面影を残している人を「ベビーフェイス」と呼びますが、やはり「かわいい」という気持ちをかき立てるので、他人から愛される対象になりやすいのです。

 例えば、クリントン元大統領は米国人の中ではかわいらしい顔立ち、すなわちベビーフェイスであったことが庶民の人気が高かった理由のひとつだと言われています。

科学的な研究で判明した「かわいい」に共通する一定の法則性


 この赤ちゃんを連想させる顔立ち=造作については科学的な研究も行われてきており、一定の法則性があることが検証されています。

 赤ちゃんの写真を元に「かわいい顔の条件」を示すと、
  • 1:鼻と唇の中間点と両瞳の位置関係が逆三角形(A)
  • 2:顔全体の輪郭(B)が円である
  • 3:A/Bの比率が小さい
 が挙げられます。

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 そして、この3条件にぴったり当てはまるのが人間の赤ちゃんであり、他の動物の赤ちゃんもほぼあてはまります。

 上野動物園で生まれたばかりのパンダの赤ちゃんもこの条件にほぼあてはまると思うのですが、そもそもパンダは成獣でも3条件にぴったりの顔をしていますね。

 最も愛される動物園の人気ものになるもの当然でしょう。

 そして、ネコもまた、かわいい顔の3条件にあてはまる顔だちをしているのです。

顔立ちに多様性が少ないことがネコの「かわいい」イメージ定着の一因


 特筆すべきは、世界中に様々なネコ種が存在しますが、おおむね丸い顔をしているという点です。さほど多様性がありません。

 つまり、多くのネコは自然と「かわいい」という感情を湧きあがらせてしまう存在だと言えるでしょう。

 一方で、犬の顔つきは種によって様々です。多様性が高く、上記3条件にあてはまらない犬種も存在しています。

 ちなみに、上記3条件に当てはまる犬種は「柴犬」だそうで、なるほどとうなずけるのではないでしょうか。

 というわけで、ネコが愛される理由のひとつとして、ベビーフェイスな「顔だち」がある、ということが科学的にも証明されているということがご理解いただけたでしょうか。

 ちなみに、私は、ネコだけでなく犬も大好きです。悪しからず。(執筆者:松尾 順)

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