秋は注目レース目白押し!競馬のハズレ馬券をムダにせず経費算入する方法

 年末に向けて、菊花賞、天皇賞、有馬記念など、競馬ファンにとってはイベント目白押しの季節となってまいりました。アタリ馬券で得た配当が一定額を超えると確定申告を行う必要があります。ならば、ハズレ馬券を引いてしまった場合にも費用回収のため、ハズレ馬券の購入費を経費とできないかと考える方もいることでしょう。そこで本稿は、競馬のハズレ馬券をムダにせず経費算入する方法をご紹介します。

年末に向け競馬イベント目白押し!ハズレ馬券は経費に算入出来る?


 年末に向けて、菊花賞、天皇賞、有馬記念など、競馬ファンにとってはイベント目白押しの季節となってまいりました。

 趣味でやる方もいるかもしれませんが、中には競馬で生計を立てたり、億単位の収入を得る人もいらっしゃいます。
 
 2015年にはハズレ馬券の購入費を経費とし、課税を免れたとする男性に国税局が1.9億円の追徴課税を求めて争い、大きな話題となりました。
 
 実は、この事件と時期を同じくして、平成27年に所得税法基本通達に改正があり、ハズレ馬券の購入費が必要経費として認められるようになっています。

条件が整えばハズレ馬券は経費に算入することが可能


 これまで競馬の払戻金は、一時所得※として取り扱われ、当たり馬券の購入費は必要経費として認められてきたものの、ハズレ馬券の購入費は経費と認められてきませんでした。

 このように、従来は一律で一時所得として扱われていたのですが、所得税法基本通達34‐1の改正により、馬券の購入行為の態様や規模によっては、一時所得ではなく雑所得であることが明示され、この場合には、外れ馬券の購入費用についても必要経費になることが認められました。

 ちなみに、競馬の払戻金が雑所得となり外れ馬券の購入費用が必要経費になるのは、競馬の儲けが『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』である場合です。

 『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』について、もう少し詳しく説明すると下記の場合です。
  • 1) 馬券を自動的に購入するソフトを使用して、インターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に、また網羅的な購入をしている場合
  • 2) 当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げている場合
  • 3) このような馬券の購入を実際に行っている事実が客観的に認められるような証拠が残っていること

週末の趣味で購入したハズレ馬券の経費算入は今まで通りNG


 資産運用として、継続的に、大量かつ網羅的に馬券を購入して利益をあげており、さらにその証拠が残っていれば、雑所得として認められ、外れ馬券も必要経費に認められる、ということです。
 
 「競馬も極めれば芸」となり、株式投資や不動産投資と同じ扱いを受けるようになったのです。

 ちなみに、冒頭でお伝えした男性も、その後の裁判で逆転勝訴を収め、法律も彼のハズレ馬券を経費に算入する行為を認めた形になります。

 なお、週末に趣味として競馬を楽しんでいるような場合は上記の要件に当てはまりませんので、従来通り一時所得として、当たり馬券のみを経費として計上して申告することになります。

※一時所得の計算上、特別控除額が50万円設定されているため、儲けが50万円以下の場合は申告不要です。(執筆者:北村 光宏)

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