近い将来、競争からの逃げ癖がついた大人の居場所はどこにも無くなる

 創業社長は自分が起業開業した後は、勝者となり生き残るために戦い続ける日々を送ります。一方で、自らは戦えても、社員を競争から逃げない価値ある人材に育て上げるのは至難の業です。しかし、社会情勢は刻々と移り変わっており、経営者であれ、社員であれ逃げ癖の付いた人間の居場所はどんどん無くなっています。

創業社長の定めは勝つために戦い続けること


 今日は「競争からの逃げ癖がついた大人の居場所はどこにも無くなる」というテーマで、どちらかというと「中小企業の社長さん」に向けた形のお話をしようと思います。

 中小企業の社長さん、これは2代目・3代目さんはさておき、創業社長さんについてですが、自分が起業開業した後は逃げているヒマが無いんですよ。

 とにかく戦い続ける、それも必死に戦うんですね。

 特に起業開業後の3年間くらいは、ただひたすら戦っていないといけません。

 起業開業ってマラソンに似ているんですけれど、マラソンだとトップ集団からこぼれ落ちた瞬間に優勝できる可能性が完全に無くなりますよね。

 だから意地でも勝者になろうと思えば、そのトップ集団に付いていかないといけません。起業開業も同じで、もう戦い続けるしかないという現実があるんですね。

社員を「戦える人材」に育てるのは至難の業


 こんなふうに創業者は自分達が戦い続けているからこそ、自分たちの起業開業前の事を思い出すことがあります。

 「そういや〜さぁ、うちらもさ、なんやかんやと楽な方を選んだりとかさ、逃げたりしてたよね…」って、そういう話が出るんですよ。

 今は100%、もしくは150%の力をバァーーッと出して戦っているからこそ、そういうふうに昔の事を振り返るんですね。

 昔のことを思い出すので、ついつい自分たちの従業員さんの方にも目が行って、「あいつはうちの会社に来て結構経つんだけれど、30歳過ぎてもう逃げ癖がついちゃって…。でも仕方ないよな、俺もそれに加担しちゃってその逃げ癖を許してしまったから…。」って形で反省をしている社長さんも意外と多いんです。

 自分の経営の仕方が悪かったから、「30歳過ぎても“ただの作業”しか出来ないような人間を作ってしまった。悪いことしたなぁ。」と思ってらっしゃる社長さんが結構いらっしゃるんですね。

 中小企業には弱い所が3つあります。広告・採用・教育です。

 企業訪問に行かなくても、大体の中小企業はこの3つがどこも弱いです。

 従業員さん採用にしても、どのような基準を設けて、本当に会社の先の事を考えて従業員さんを採用したのか?…チョット怪しいでしょう(笑)?

 それから常に教育を施して、自分の会社に入った時よりも1年経てばとんでもない成長をして、そして2年経てば更にとんでもない成長をしている…

 そういう教育システムをちゃんと組んでやってきたのか?というと…これも怪しい(笑)!

 こういう形で社長さん側もやっぱり反省している部分が多かったりするんです。

頭を使って戦えない社員は今後生き残れない


 あとは法律の問題です。

 大企業でも一部、それから中小企業は殆どですけれど、人を雇うリスクの方が高くて、なかなか人を雇いにくい状況となり始めています。

 これから先は、個々の企業毎には正社員が増えるっていう事があったとしても、全体としては絶対増えません。

 法律がそういう方向に向かっているので、これは間違えなく絶対です。

 そうすると、正社員がどんどん非正規の社員に置き換わっていくし、外国人労働者にどんどんどんどん置き換わっていく。

 この全体的な流れは今から3年前にほぼほぼ決まって、それ以来ずっと政府の政策も正社員が増やしにくい方向に向い続けています。

 この仕組が崩れていくことは考えにくいので、正社員さんが増えることは無いと考えて良いでしょう。

 つまり、少ない正社員さんに何らかの教育をきちんと企業側もやっていくしか無いんです。

 ほとんどの正社員さんは、これからは頭を使うことをかなり要求されます。

 「頭を使わない正社員は要らない ⇒ 非正規へ置き換わってしまう」という現象が、これから沢山見られるようになっていきます。

どんどん戦って日々進化を遂げる子どもたち


 これらの社会的情勢を踏まえて、人の成長・教育というものを、「中学生」と「普通の中小企業の従業員さん」とで置き換えてやってみましょう。

 中学1年生のうちの長男坊の1日を見て行きましょう。

 朝は6時50分に起きます。今日は私が用意したタラコスパゲティとクロワッサンを食べて、7時50分に登校しました。

 中学生ですから6時間の授業があって、授業の後は部活をやっています。

 卓球部なんですが普通に部活をして、その後に卓球教室に行く場合だと帰りは夜の21時15分くらいです。

 進学塾に行く場合はもうちょっと遅くて22時。

 東京都の条例で一応22時以降は外出してはいけないとなっていますので、進学塾はギリギリまでやります(笑)。

 普通にまだ子供ですから、空いた時間に何をやっているかと言うとゲームをやったり、それから今は簿記会計をやらせています。

 このスケジュールを見て分かるとおり、これだけのことをやっていれば、毎日毎日賢くなるし、そして毎日毎日体も強くなるという状況です。

大人になって一番大事なスキルは「自学自習」


 ところが大人たちはどうなんだろうか??って。

 いやいや大人たちは、もっとちゃんと働いているよ!って?

 毎日毎日働いているにも関わらず、毎日コツをどんどん覚えて、毎日毎日作業が早くなって、より作業が早くなるように改善はしているのか?

 それはなかなか無いですよ。

 つまり圧倒的に中学生、それから小学生の成長スピードがめちゃくちゃ早い。中学生のほうがめちゃくちゃ早いスピードで賢くなっているんです。

 私が息子に簿記会計をやらせている理由はたった1つ。

 大人になって1番大事なスキルっていうのは、とにかく「自学自習」です。

 先生や先輩や、それから中小企業においては社長さん方から教えてもらわなくても、とにかく自分で学んでやって行かないといけない。

 自学自習が身に付くことが1番大事です。

4人に1人は逃げて、残った7人のうち1人しか勝てない簿記2級試験


 簿記の3級は今年6月に合格しまして、簿記の2級は1ヶ月後の11月に試験があるんですけれど、その学習状況は8割方が自学自習で出来ています。

 今回のこの「逃げてはいけない」という事で、試験から逃げさせないのは、別に命に関わることだったら、どんどん逃げて良い。

 でもこういう試験とかは逃げるな。

 これからの世の中はどんどん頭を使っていかなくてはいけない。頭を使って行くことから逃げたら、本当に今の社会の仕組みからすると底辺に組み込まれてしまう。

 検定試験の実際の競争率を言うと、100人が検定試験に申込むとすると、大体25人…4人に1人が逃げちゃうんです。

 試験会場に行かないんですね。

 試験会場に行くのは100人中大体75人で、今度の簿記2級だと合格率が大体15%くらいです。

 ですから7人に1人くらいしか受かりません。

 試験会場に行って、戦った人間うち合格出来るのはわずか10名くらいです。

 100人が申し込んで、75人が戦う、そしてその戦いに勝つのは10人くらいしか出ないということ。

 そういう厳しい世界なんですけれど、中学1年生の息子にこういうことを課すのは私も忍び無いんですが、でも大人はもっともっと実は戦わなくてはいけないんですよ。

命の危険が無い限り、逃げちゃいけないところでは逃げない


 100人のうちの10人が入るような、そのくらいの戦い方を大人がしているかって?!

 実は意外とみんな戦ってないんですよ。

 のらりくらりと競争から逃げながら大人って生きて行っているんですね。

 でも、正社員の枠はこれからどんどん減っていくことが確定してます。逃げてばっかりいる人間には、正社員の椅子すら無くなるんです。

 非情な社会の現実が近い将来に待ち構えているんですが、多くの人はそのことに気づいていないんではないかと思います。

 私は「逃げちゃいけない」ところでは、本当に逃げてはいけないと思っている人間の1人です。

 命の危険があるならガンガン逃げて良いんだけれど、「逃げちゃいけない」ところで逃げない事によって、どうにか自分たちが生活して行ける。

 逆に言うと、それくらい生活して行くのは大変な事だよね、これからもっとそうなるよね、っていう話です。


 
(執筆者:タナカキミアキ)

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