おもちゃ売場にひしめく子供達から学ぶマーケティングの『本質』

 おもちゃ売り場にひしめく子供達は優れたマーケッターです。彼らは明確なターゲット設定を行い、高度な心理トリガーをしかけるなどして、親の財布の紐を緩めるために、しっかりと戦略を練って行動します。ビジネスの世界も同じで、自らお客様に動いてもらえるよう、能動的にはたらきかけないと、いつまで経っても目的を達成することが出来ません。

子供は親が自分を愛していることを知っている


 今日のテーマは、「おもちゃ売場にいる子供達にマーケティングの『本質』を見た」です。

 子供って本当にかわいいですよね。それが我が子であれば何者にも代えがたい存在です。

 でも、子供も自分で、親から自分が大事にされている、愛されている存在だということをちゃんと知っているんです。

 そんな子供達がひしめく場所と言えばおもちゃ売り場ですが、おもちゃ売り場を観察していると見事なまでにマーケティングの本質を勉強することができます。

おもちゃ売り場の子供達は優れたマーケッター


 というのも、おもちゃ売り場にいる子供達は優れたマーケッターです。

 欲しいものに対する欲望を露わにして、絶対に買ってもらうという目的を達成するために、彼らなりにしっかりと戦略を練って行動しているからです。

 まず彼らは、ガードの緩い相手を狙います。

 大概は父親なんですけれども、特にお子さんが女の子だったら完全に父親に照準を絞りますよね(笑)。

 厳しい母親よりも、日頃子供と接する時間が短い、そのことに引け目を感じている父親の財布の紐が緩いことを、彼らはちゃんと知っています。

 「買ってもらいやすい人に的を絞る」という意味で、優れたターゲット設定を行っていると思いませんか?

 時には、「みんな持ってるのに!これ持ってないのみーちゃんだけだもん!」とか言って、しっかりと社会的証明のような高度な心理トリガーを親にしかけます。

 この前売り場を観察していた時には、「ねー、パパぁ。これ買ってよー。買ってくれたらみーちゃんパパとずっとお風呂に入るぅ…」なんて言ってる子もいました。

 強烈な価値の提供、オファーの提示をしているわけです。本当に立派なマーケッターですよね(笑)。

望むもの全てを求め続けよ。さすれば与えられん。


 ところで皆さんに質問です。

 あなたはしっかりとマーケティングを実行しているでしょうか?お客様にちゃんとセールスをしかけていますか?

 食える・食えない、この境目をうろちょろしている、苦労しているビジネスの一番の原因は、「何もしないでじっと待っていること」にあります。

 そもそもマーケティングをしていない、セールスをしていない。なのに、「また今日もお客様が来なかった」と言うわけです。

 これでは売れるわけがありません。

 ビジネスの世界では自分が能動的にはたらきかけないと、お客様が動いてくれません。

 テッド・ニコラスという有名なマーケッターが、あるセミナーに登壇した時、参加者の1人が彼に「成功した秘訣をひとつだけ教えてください。」と尋ねました。

 テッドの答えはただ一言、「望むもの全てを求めなさい。」というものでした。

 これ凄く深い一言だと思いませんか?
 
 あなたは、しばらく顔を見せていない休眠客に、「また来てください。」と声掛けをしていますか?

 あなたの商品で助けられる見込み客に対して、「ぜひこの商品を試してみてください。」と熱烈なオファーを提示していますか?

マーケティングの本質は「お客様の行動を求めること」


 じっと待っていてもビジネスは動きません。

 もっと言うと臆病者にはビジネスはできません。

 おもちゃ売り場にいる子供達は、ちゃんとターゲットを決めて、ターゲットに対して熱烈にセールスをしかけます。

 子供達ばっかりじゃないですよ。我が家にはマールとモコという困りモノの2匹の猫がいますが、ちゃんと彼らなりにマーケティングをしています。

 「エサよこせ」と言って眠い妻を起こしたり、「遊べ」と言って僕の背中に乗ってきたり、その場面場面に応じてターゲットを決めてセールスをしかけます。

 マーケティングの本質は「お客様の行動を求めること」「応じてもらいやすい状況を作ること」です。

 ぜひ、自分から積極的に仕掛けていきましょう。


 
(執筆者:高橋 伸夫)

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