稼ぐのは当たり前だ。でも、ビジネスと投資の実践には更に深い意義がある

 多くの人は「ビジネス=お金を稼ぐ手段」と捉えています。したがって、ビジネスや投資活動そのものを「卑しむべきもの」「おおっぴらに他所様へ話すようなことではない」という風潮が世の中には根強く残っています。しかし、ビジネスと投資の実践は単に稼ぐことのみに意義がある活動ではありません。もっと深いその意義に触れた時、これらの活動は人生における重要なポジションを占めることを私達は知ります。

「お金を稼ぐ・お金を増やす」は確かに大事だが全てではない


 「起業してビジネスをスタートしお金を儲ける」「投資をして資産を増やす」

 実際に自分がやっていることなので、お会いする方とこのようなお金の話をしていると、たまに私のことを「守銭奴」のように見られる方がいらっしゃいます。

 結論から言うと、確かにお金は超重要です。生きていく上で必要なのはもちろん、ビジネスをより成長発展させてお客様の満足度を高めるために潤沢なキャッシュは身体で例えるならば血液のようなもの。

 ですが、ビジネスや投資を実行する理由はこれだけではありません。

 今回はビジネスや投資に私達が時間を費やすのは、お金を稼ぐ以外にも目的があるのでは?という問題提起を行いたいと思います。

「ビジネス=お金を稼ぐ手段」の人が行き着く末路


 まず、ビジネスをする、というと「お金を稼ぐ手段」そのもののように考えている人が多いですよね。

 わかりやすいところで言うと、飛び込み営業、電話営業、FAX営業、それから異業種交流会などで、自社商品を売り込んでくる人たちを見ていると特にそう思います。

 これら、「ビジネス=お金を稼ぐ手段」という人を見ていると、自社商品を売り込むことが第一義的な目的であり、その結果相手が幸せになるか?満足するか?ということはおざなりな場合が多いです。

 先日もそんなビジネスマンと会うタイミングがありました。

 彼はいきなり会社に飛び込んできて、「契約している通信会社を変えた方がいい」と必死に私にアピールし、頼んでもいないのにネットのプロバイダやセキュリティソフトなどをガンガン突きつけてきます。

 忙しいので帰ってもらいましたが、その後も彼は電話やFAXでガンガン営業をかけて来ました。

 その勢いは百歩譲って買います。

 しかし、最終的に私は彼から、「良い製品を提供することで喜んでもらいたい」というより、「なぜこんなに一生懸命提案しているのに買ってくれないのか?」という憤りに近い感情を感じたに過ぎませんでした。

 彼が置いていった名刺から会社名を検索すると、「ネットで悪質な営業をしつこくかけてくる」という悪評を沢山見つけることができました。

 これではもう、彼らの会社はネット上で商品サービスを提供することが難しいでしょう。

 公式HPより、悪評が上位表示されていますから、ネット上での社名生命はすでに絶たれている状態です。

 今後、ネット社会が発達していく中で、彼らの会社の生存できるスペースはどんどん小さくなってしまう。それは致し方ないところです。

相手を幸福にする人が富を積み重ねていく時代


 綺麗事と考える人もいるかもしれませんが、ビジネスを行う第一義的な目的は、相手を幸せにすることだと私は考えています。

 そうでなければ、そのビジネスは世の中に存在するべきではないとすら考えます。

 対論もあります。ビジネスは戦いであり、勝者が生まれる一方で敗者が必ず生まれるのがビジネスであると。

 たしかに、人類の歴史は戦いの歴史であると評する人もいるように、紀元前、有史以降も、私達の祖先は、相手の領地、食料、資産を戦いによって奪い、奪う中で、豊かさを手にしてきました。

 しかし、スティーブン・ピンカー著「暴力の人類史」にもあるように、統計学を見ても長い歳月のあいだに人間の暴力(奪い合い)は減少しており、私達は人類史上最も平和な時代に生きています。

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 組織の形も個々の自立自存、人間の良心を元にしたティール型と呼ばれる組織が台頭しはじめています。

 現在の2018年は力で弱者を制する時代ではなくなっています。

 価値を提供し、相手を幸福にすることが出来る人こそがもっとも富む、そのような世界にシフトしています。

 また、資本主義の構造上、資産が資産を生む速度は加速度的ですから、究極的に言えばお金持ちがさらに富む構造になっています。

 繰り返し、綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、ことビジネスについて言えばより多くの人を幸せにできた会社しか生き残っていません。

 時価総額ランキングを見ればそれは現れています。多くの人を不幸にする、売らんかなで自分本位でグイグイプッシュする会社で大きな繁栄を築いている企業は一つもないのです。

 ビジネスの原則はまず、相手へ価値を提供し、幸せにすること。お金はその結果としてついてくる副産物に過ぎないのです。

起業は自己表現を行い幸福を感じるための手段


 また、現代においては、起業というのは自己表現の手段、という側面がかなり大きいと感じています。

 私の場合であればフルーツギフトや、アフィリエイト、ジャーナリストの仕事がそれにあたります。

 もちろん、顧客への価値提供やお金を稼ぐ手段という側面はゼロではありません。

 しかし、「お金を稼ごう」「お客様を幸せにしよう」という目的と同列に、「自己表現の手段だ」という考えが私をビジネスに突き動かしています。

 例えば、私は時にフルーツやギフトを販売し、時に人生・ビジネス論を発信し、時に英語学習法の情報を発信する、つまり、様々なアバターを持ち、これをビジネスで体現しています。

 フルーツギフト、アフィリエイト、ジャーナリスト、いずれも私を自己表現する手段であり、そのような私を知った一部の人から共感してもらったり、支持してもらっています。

 自分が提案する「これってすごくない?」「ものすごくいいよね!」という呼びかけに呼応する人が現れ、共感し、そして売れていくというプロセスにはとても幸福感があります。

 「提案してもらったメロンがすごくおいしかった!」とか、「人生論に共感しました!」とか、そういう言葉一つ一つが本当に嬉しいですし、やっててよかったなと思います。

 おそらく私のビジネス領域は、フルーツギフトやアフィリエイト、ジャーナリストから更に広がっていくことでしょう。

 ビジネスは自己を表現する手段であり、主張に共感してくれる同志や仲間を増やしていくことにより、更に楽しい取り組みを実現できると革新しています。

投資は貴方の分身を作り世界を知る手段となる


 最後に、私が「投資をして資産を増やす」理由についても触れましょう。

 マネックス証券の松木大社長は「投資は自分の分身を世界中に置く行為だ」と言っています。

 私は、彼が言われていることの意味がものすごくよく分かります。

 例えば、アメリカ株や不動産に投資をすると、アメリカの株や不動産に影響を与えるニュースがどんどん頭に入ってきます。

 これは単なる感覚によるものではなく、心理学用語の「カラーバス効果」によるものです。

 投資は自分の身銭をかけるわけですから、どうしても真剣になりますし、やる以上は絶対に勝つつもりで取り組みます。

 ですので、投資銘柄に関する世界中の情報はどんどん向こうからやってくる…これが自分の分身を世界中に置くという行為なわけです。

節約社長

 イギリスの企業に投資をすればイギリスに関するニュースがバンバン入ってくる、中国の企業に投資すれば中国の…という具合に、投資は私達の「知っている」世界をどんどん広げてくれます。

 実際、過去に深センのハイテク株に投資をしたときは、中国のハイテク企業についての情報をいつの間にか一生懸命収集し、資料を読みあさり、投資前にはほとんど知らなかった知識を得ることが可能になりました。

 投資は世界中に数多ある企業活動や経済、政治といった情報を楽しんで、能動的に学ぶための手段なのです。

 また、金融は単なるマネーゲームではなく、企業や国の経済成長と一緒に自己資産を成長させることに成功した時、利益が出た場合、税金を生みます。

 納税は立派な「社会貢献」です。

 ビジネスをする、投資をするというと、脊髄反射的に「お金の亡者」みたいに見る人がいますが、それは大きな誤解です。

 ビジネスや投資はお金を得る以上に人生を豊かにしてくれる経験や、仕事を通じてでしか得られなかった仲間を作る手段、自己表現の手段、情報収集の手段になるのです。

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Photo credit: Internet Archive Book Images on Visual Hunt / No known copyright restrictions (執筆者:黒坂 岳央)

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