サラリーマンが300万円で会社を買って成功するために必要なことってなんだ?

 今年の春に出版され、ベストセラーとなった「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」の影響もあり、サラリーマンの間で、マイクロM&Aが静かなブームとなり始めています。一方で、マイクロM&Aのほとんどは成功しません。マイクロM&Aを成功させるために必要な視点、会社を買った後に必要とされる対応について、解説いたします。

「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」とマイクロM&Aの現実


 今年の春に出版され、ベストセラーとなった「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」という本をご存知でしょうか?

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)posted with amazlet at 18.10.27三戸 政和
講談社
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 この本が出版されて以来、M&Aアドバイザーである私共の元にも、沢山のお問い合わせが舞い込んでおります。

 トランビをはじめとして、ネットによるM&Aマッチングも数多く登場し、本誌の周りでもマイクロM&A(1,000万円以下で売買されるM&A)を実践する方も増えてきています。

 しかし、実際にM&Aを実施した方の多くが失敗しているのも現実です。

 これを防ぐために、私共のようなアドバイザーがいるわけですが、報酬の問題が枷(かせ)となることも多く、更に、そもそもマイクロM&Aをこなせるアドバイザーがあまりいないことも、マイクロM&Aでアドバイザーをうまくつかこなせない理由の1つになっています。

 そこで本稿では、どうすればマイクロM&Aを成功に導くことができるのか、現場の経験を踏まえてお伝えしようと思います。

マイクロM&Aを成功させるポイントは「完璧を求めない」


 結論から言うと、マイクロM&Aを成功させるポイントは「完璧を求めない」ことにあります。

 たとえば、マイクロM&Aを実施する際は、買収しようとする相手先の財務情報が十分に整備されていない、契約書が整備されていない、などの出来事が日常茶飯時で起こります。

 それに対して、だったらやらない、と相手を突っぱねるのでは、マイクロM&Aはできません。

 この場合の解決策は簡単で、自分でP/Lを作り、事業譲渡や会社分割などのスキームで、過去のリスクと切り離しをすればよいのです。

 そうすればDD(デュー・ディリジェンス)も効果的に実践できます。具体的にどうすればよいのか、どうやってP/Lを作ればよいのかは、先人から学べば良いのです。

 この経験は、知っているか知らないか、一度やったことがあるないかだけの差ですので、やる気があって正しい知識があり、不安になったときに相談できる人がいれば万全です。

 専門家と相談すればなおよい形で進めることができるでしょう。

買収後は自分が事業に着手し成功させる覚悟が必要


 更に、実際に買い取った後で重要なのは、「自分で事業に着手すること」です。

 300万円程度で買える会社は、大抵が傷んでいます。何か大きな問題を抱えています。

 現オーナーがこれらの問題を解決することができないから、会社を売りに出すのです。

 例えば、かつて5人いたスタッフが2人なってしまい、赤字垂れ流しになっている。5人に戻せば利益は出るが、人材難で十分な雇用を確保することができず、もう無理、誰か引き取ってくれる人がいないか、という状態はよくある話です。

 もし、貴方がサラリーマンでも良いですし、経営者でも良いのですが、このような問題を抱えている企業の実務に入り、解決できるでしょうか?

 できるならすぐに300万円で会社を買っても良いでしょう。

 会社を買ったら、大至急、店に入り、集客、リクルートの方法の見直しに着手し、また残った貴重なスタッフのケアを実行し、優秀な人材の採用も始めるべきでしょう。

 当たり前の話ですが、本当に人さえ採用できれば利益が出るのか、過去の実績の確認、環境変化を踏まえながら検討する必要もあるでしょう。

 スタッフを確保した後に、「人材難で赤字」という事態を繰り返さないために、人事制度の革新、スタッフとのコミュニケーションを風通しの良いものとすることについても、しっかり成果を出さねばなりません。

 厳しいでしょうか?でも、これが経営者となる、会社を買う人の覚悟です。

 これらがきっちりできるのあれば、買い手の職業も関係ありません。メリットも大きいはずです。

 私共アルテパートナーズでも、このような事態を踏まえ、マイクロM&Aのための講座、受講後のフォロー体制を構築をしているところです。(執筆者:大原達朗)

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