「PDCA」と「OODA」を掛け合わせ、変化に対応した仕事を成し遂げよ
インターネットの出現によって世の中がグローバルになったことで、私達を取り巻くビジネス環境の変化はますます早まっています。そのため、経営の意思決定の過程をPlan(計画) Do (実行)Check(チェック) Action(改善再実行)で回すだけだと、事業が陳腐化し、ライバルに対応しにくいという現象が起こっています。これを防ぐためには、経営の意思決定をOODAで行い、現場管理をPDCAで行う棲み分けが必要になっています。
PDCAを回すだけでは変化に対応できない
今日のテーマは、『PDCAだけじゃもう古い』です。
『PDCA』というのは、皆さんもご存知の通り、 Plan(計画) Do (実行)Check(チェック) Action(改善再実行) という四つの工程を繰り返して、事業をより良い方向に進めよう、という概念ですね。
計画して実行したら、いったんチェックして改善して再実行する。これをずーっと繰り返せば、どんどん良い方向に向かうよね!という考え方です。
日本の会社は大体、この『PDCA』というサイクルで戦略とか計画を練って実行していくのが常なんですけども、これがなかなか通じなくなってきています。
というのも、インターネットの出現によって世の中がグローバルになったことで、色んな業種・業態・サービス業が生まれました。
特に、物を生むとか、良い物を作るとか、そういうところ以外に、価値を生む、価値を作るといった、目で見えにくい業務が増えてきたんです。
そもそも、『PDCA』が真価を発揮するのは、「品質管理」とか「生産管理」について、計画ありきで進める時です。
「品質をここまで高めよう」とか、「生産を納期をいつまで何万個作ろう」とか、特に製造業を中心に『PDCA』のサイクルは有効です。
ところが、全世界がインターネットで繋がるようになると、環境が変化するスピードが凄く早くなりました。
去年とおととし、極端な例だと1~2か月で環境が大きく変化する時代になっています。
自分達が競合だと思っていなかった業種・業態の人達が、自分達の市場に進出してくるのが当たり前です。
もう、想定外の事態がドンドコ起こるんですね。
そんな状態であるゆえに、 Plan・Do ・Check・ Actionを型通り期限を決めて回してると、どうしても対応が後手後手に回ってしまいます。
チャンスを逃してジリ貧になっていったり、想定外の競合が現れた時に成す術もなく後塵を拝してしまいます。
OODA(ウーダ)ループで意思決定を高速化しよう
今日、ご紹介したいのが 『OODA(ウーダ)ループ』という概念、考え方です。
OODAループは以下4つの言葉の頭文字を当てはめたものです。
- 「Observe」 (みる)
- 「Orient」(わかる)
- 「Decide」(きめる)
- 「Action」(うごく)
この考え方は米軍で開発されたものです。
戦場って予測できない事態に突然遭遇しますよね。いきなり敵が予想だにしないところから現れた!みたいな。
この時に、PDCAなんて考えていたら死んじゃいますよね。
なので、できるだけ基本方針を上層部が決めたら、あとは現場にいる兵士たちに権限を委ねて、その場の状況を見て、状況がわかったら、どう動くか決めて、実際にやってもらうと。
そっちのほうが、実戦では成果を得やすいし、無駄死にも少ないよねと。
翻って日本人は真面目なので、作った計画を変えられないところがありますよね。
作った計画を変えずに着々と愚直に実行していって、それで見直すタイミングが遅れちゃって、世の中から取り残されていく。
まさにガラパゴス化はそうやって生まれました。
対して、『OODAループ』の特徴は意思決定を早く変更出来ることです。変化の早い今の世の中には、こっちのほうがあっているんじゃないだろうか?ということで、先進的なIT企業さんなんかはどんどん取り入れています。
戦略決めはOODA、現場管理はPDCAがベストチョイス
じゃあ、PDCAはオワコンか?と言われると、それは違います。
私がお勧めしたいのは、『PDCA』と『OODA』の併用です。
中小企業の場合、数十人の従業員を抱えていらっしゃると思うんですけども、 PDCA の考え方でつまづきやすいのが、計画に凄い時間をかけて作っちゃうことにあります。
時間をかけて計画を作るものだから、それを本当にちゃんとやろうとするので、計画が間違えていても突き進んでしまうんですね。
そして陳腐化すると。
なので、「計画と戦略」を分けて考えちゃって、その際に『PDCA』と『OODA』を併用していただきたいんです。
大まかな計数計画、たとえば売上、利益、投資額、体制作り、人員配置計画、こういった数値的な目標は『PDCA』 で管理していけばいいかなと思います。
そして戦略は『OODA』で決めて実行します。
競合他社の観察、自社の経営資源の観察、全く違う業界からの侵略の観察、既存顧客の観察をします。
たとえば、既存顧客からの受注が減っているなら、なぜそんなことが起こるのか観察して調査します。これが「Observe」です。
それを肌で感じて要因を特定「Orient」したら、行動を決定(Decision)します。
「駄目だ!これはもうお客さん逃げかけている!」と分かれば、逃げてるお客さんを追うのか?新しいお客さんを追うのか?はたまた自社を変えるのか?の選択肢が出てきて、行動を決めることができます。
数値管理にはPDCAを取り入れながら、大きな戦略決めと実行はOODAで回す感じですね。
ちなみにOODAを戦略決めに採用する場合に注意すべき点が一つあります。
OODAを採用すると朝令暮改に近いところがあって、昨日言った戦略・戦術を今日変えるということも多々あります。
なので、携わる従業員にはきちんと、OODAを取り入れていることを伝えて、変更がある時に「なぜこうするのか?」を説明する必要があります。
そうしないと、「あの社長は気分でコロコロ考え方を変える」と言われてしまうので、そうじゃねぇよと。
こうやってルール決めをしたら、経営者がOODAで決めたActionを従業員さんがPDCAを回して、数値目標を達成していくというのがベストかなと私なりに考えました。
(執筆者:南本 静志)