セミナーや研修に参加することは個人としても会社員としても多々あることでしょう。
出張として行ったり、近くの会議室で開催されたり、インターネットで検索しても数多く出てきますし、業務上の命令としてもあることと思います。
何かしらのスキルアップや気づきを得るためにも情報を得ないと自分自身の能力アップに繋がりませんし、会社員としても情報を得る能力がつかないので仕事をさっさと終わらせることができなくなるでしょう。
さて、セミナーの参加費は無料の場合もありますが、基本的には有料です。
カテゴリーや習得技術のレベルによって受講料は変わりますが、3,000円〜8,000円が主な相場といえます。
連続受講ものだと10万円を超える場合も多くあります。
では、このセミナー受講料。経費にすることはできるのでしょうか。
ちゃんと管理して、しっかり申告したほうが、メリットありますよ。
本記事ではセミナー参加費の勘定科目、確定申告についてまで解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
セミナーは節税になるのか?
セミナーは経費に参入できることを知らない方がいるようです。
税理士さんの話でもセミナーや研修を経費に入れていないことが多いようです。
セミナー費用や研修費用が業務に関係があるのであれば経費に計上できます。
経費として計上しないと、セミナー費用や研修費用分の売上が税金がかかってしまいます。
せっかく業務に関係のあるセミナーや研修に参加したのなら、売上から税金に持っていかれる費用をなるべく少なくしたいですよね。
そもそも経費にできることを知らない人が多い
ズバリ、セミナー受講料は経費にできます。しかしそれを知らない方が多いようです。
研修会やセミナーに全く参加しないという方は少ないと思います。
それを考えれば研修やセミナー参加費用の経費計算を覚えておくと税金の削減になります。
仕事の一部として参加しているわけですので隠すこともありませんし、参加費用については経費として処理すれば良いのです。
経費計上の忘れが多い
税金は、売上から経費を引いた所得金額に税金がかかります。
経費を増やせば利益が圧縮されて、払わなければならない税金が減ることになります。
もちろん、事業に関係のあるセミナーや研修に限りますが、会社員や個人事業主であっても、各々の段階で参加するべきセミナーや研修がありますので、経費にできるセミナー代の領収書はしっかり保管しておきましょう。
後々に確定申告でまとめるときに処理を忘れることがあるので、説明資料としても報告書やメモを、自分自身でもわかりやすくまとめておくことが必要です。
経費判断基準がわからない人が多い
あたりまえの話ですが、事業にとって全く関係のないセミナーや研修への参加は経費に計上できません。
それが可能であれば、税金を払いたくないなら無意味にでもたくさんのセミナーに参加して売上を圧縮することが可能になるからです。
個人事業主としてなら、個人のスキルアップや売上アップに関連するのであれば経費として認められます。
更にくわしく判断基準について解説していきましょう。
セミナー代はどこまで経費と認められる?6つの判断ポイント
経費として算定できる判断基準について考えていきましょう。
無理な経費算定で後々に不要な処理が発生しないようにしたいですよね。
セミナーに参加する理由
研修やセミナーに参加する理由は何点かお持ちだと思います。
自分自身のスキルや能力アップ、聞いてみたい話があるなど個人としてのものや会社からの指示の元、採用後や何年後かに決められている研修や業務上必要な力をつけるために参加することなどが挙げられます。
通常の仕事以上に何かひとつでも気づきやスキルアップにつながれば良いですよね。
セミナーの内容
そのセミナーは事業に関係があるものでしょうか?
事業に関係がないセミナーや研修なら参加しても経費として認めてもらえないでしょう。
参加を検討する段階であなた自身に必要な理由を頭の中で思い浮かべるでしょうが、それを説明できる言葉でメモを残しておくと良いかもしれません。
成果を可視化
個人事業主の方でも、セミナーの成果をまとめておくことをおすすめします。
それをはっきりさせるためにも報告書や関連性がわかるメモなどを残しておくと後々の手間が少なくなることがあります。
会社の研修のように、上司への報告書があれば参加して何を学んできたのかははっきりとわかります。
個人の方でも上司はいないですが、確定申告の時の対策としてまとめた方が良いです。
マインドマップ風にまとめておくと、後から見返してもわかりやすいです。なんと言っても、確定申告を作成するときに自分自身でも税理士さんでも何をしてきたのかが理解できる状態になります。
自分でどのように判断するか
まず第一に個人事業主であれば、自分自身どのように判断するのかが重要になります。
あなたが判断して、説明ができるのであれば認めてもらえます。
例えば、自己啓発系セミナーでも、あなたにとっての必要性や参加すべき理由をあなた自身が持っておく必要があります。
あなたが説明できないのであれば、事業に必要とは言えないでしょう。
会社での研修でも同様です。
会社が研修に行かせる理由を説明する必要があります。
あなた自身が説明できないのであれば不要な出費になりますのでセミナーや研修に申し込む際に考えをまとめておく必要があります。
他人にどう判断されるか
あなた自身や会社として説明ができることは重要ですが、そのほかに他人の目から見てどのように映るのかも気にする必要があります。
そんなものは必要性が感じられない、などの指摘をされることがあるかもしれません。
たしかに、他人はあなたではありませんから、本当に必要な理由はわからないこともあります。
そこで先ほどの、あなた自身が必要性を説明する必要があります。
例えばIT関係のエンジニアだったとしても、独立して仕事をとっていくために営業セミナーに参加したり、コミュニケーションセミナーに参加することもあります。これは自身の事業に関するスキルアップと言えます。
理由が明確であれば他人からの指摘でも説明ができますので他人の判断を覆すこともできます。
税理士によっても異なる
相談する税理士さんによって見解がわかれることもあります。
税理士さんはあなた以上に会計についての知識はお持ちです。
しかし、あなたの事業についてはあなたが一番理解しています。
税理士さんのお話も参考にしながらあなたの考えをまとめておく必要があります。
会計上の処理はどうするのか?
考え方は見てきましたが、一体どのように会計上では処理したら良いのでしょうか?
それでは会計上の取り扱いを見ていきましょう。
個人事業主の勘定科目は?
自身の事業に関連するイベント参加費やセミナー参加費の勘定科目としてよく利用されるのは「研修費」です。
実は「セミナー代」という勘定科目は通常の科目にはありません。もしセミナー代としたいなら新規で項目を起こすことも可能ですが、一般的には研修費で問題ありません。
教材の購入など参加費と別に料金がかかる場合も、研修費と合算して記帳し、摘要欄に内訳を書くと良いでしょう。
標準設定において、「新聞図書費」があります。
参考書や新聞、書籍などが含まれますのでそちらで処理することもできます。
交通費や懇親会費の処理について
会場までの交通費や宿泊費、懇親会などの費用については「研修費」などで一括処理はしないほうが良いでしょう。
別々に「交通費→旅費交通費」、「懇親会費→接待交際費」などに分けて処理することが無難なやり方です。
一般的な考え方はありますが、とらわれすぎないように注意が必要です。
ただし、今までやられて来た傾向や取り決めを大事にして、年度ごとで相違が出ないような記載が望ましいです。一度決めた勘定科目を変えたりすることで影響が出ることがあるので注意が必要です。
過去の財務諸表と見比べた際に比較ができなくなります。
基本的には継続して使用するようにしましょう。
セミナーにかかるその他費用について
セミナーや研修の受講料の他にも必要な経費が発生します。
同じ建物内や近所の会議室で開催されるのであれば、そのほかの費用は発生しないのでしょうが、そんなに都合良くあなた自身に必要なセミナーが近所で行われているわけでもないでしょう。
車で参加する場合のガソリン代や公共交通機関を使用した際の運賃、または遠距離での宿泊費用などを考える必要があります。
この経費部分を処理していないことが多いようです。
交通費は【旅費交通費】
電車やバスの運行が多い都心部の場合、
公共交通機関を使って移動するでしょう。
もしくは、タクシーを使って会場に行きます。
その場合、交通費もセミナーや研修費用として経費計上することができます。
自家用車で参加する場合でも経費計上が可能です。
高速道路を使った場合でも高速道路料金やガソリン代金をまとめておく必要があります。
業務用で使用したメーター数値や地図上での距離数をまとめておくと説明がやりやすいです。
仕事とプライベートで車を兼用している場合、運行履歴を残しておくと便利です。
後からあなたが処理しようとする際もわかりやすいですし、説明資料としても良い資料を残せます。
教材費は【新聞図書費】もしくは研修費に合算
セミナーや研修に参加する際に、同時に指定教材である本などを購入してから受けることがあります。
本や資料を購入することが条件であったり、持っていない方は購入してから参加することなどが募集要項に記載されています。
教材費用もセミナーや研修に必要な支出として処理できますので確認漏れがないように処理する必要があります。
新聞図書費の他、研修費に合算して記帳し、摘要欄に内訳を記入する方法もあります。
飲食費は【交際費】
遠出でセミナーや研修を受ける場合、飲食費用も経費計上できることがあります。
セミナーや研修のために事務所以外の土地に行き、セミナーや研修に参加すれば自ずと昼食や夕食、水分補給などが体には必要です。
その際に必要なもので過剰でなければ、飲食費用も経費に計上することができます。
フリーランスの方でカフェなどで作業される場合、近所なら飲み物一杯分だけは経費にできるとの見解もありますが、遠方であれば一杯だけではなくセミナーや研修に参加した飲食費として経費にて処理できます。
宿泊費は【旅費交通費】
遠方でのセミナーや研修の場合、宿泊する必要が出てきます。
朝から1日の間受講する場合、前日から宿泊して参加しないと集中して受講することができないでしょう。
そもそも朝の時間に間に合う公共交通機関がない場合もあります。
電車や飛行機を乗り継いで朝に間に合わせようとすると、それだけで疲れ切りますよね。
必要な宿泊費用なら経費に計上しても問題ありません。
セミナー代金を支払う時の対応
セミナーや研修に参加することはありますが、支払いや確定申告のために必要なものがよくわかりませんよね。
会社員時代なら、会社の経理担当者が対応してくれますし、個人事業主としての対応を学ぶ必要があります。
証憑書類として以下があります。
・請求書
・領収書・レシート
・出金伝票
・ATM利用明細書・振込明細書
・その他見積書・納品書等
領収書
とりあえず領収書をもらえば良いでしょう。
領収書があれば、裏にでもどんなセミナーや研修だったのか、場所などの5W1Hをメモしておくと後々まとめるときにまとめやすいです。
自分自身の記憶だけではわからなくなることもありますので、随時メモなどで記載しておくと手間が省けます。
事前にクレジットカードで支払い
クレジットカードで支払いをすると領収書は発行されないことがあります。
クレジットカード決済でも領収書を発行してくれることもたまにありますが、多くは領収書は発行されません。
困りますよね。
この時にはクレジットカードの利用明細書で代用しても問題はありません。
クレジットカード利用明細書のどれなのかをわからなくならないようにするために、メモするなり記録をとっておきましょう。
事前に銀行振り込み
銀行振込もクレジットカードと同様に領収書が発行されないことがあります。
ATMでの振込も同様です。
この時には、振込明細書やATM利用明細書で代用できます。
これについても、5W1Hでメモするなり、後々に説明できるようにしておくことが良いでしょう。
会場で現金支払い
セミナーや研修の当日に会場で、現金支払いの場合もあります。
この場合、通常であれば領収書を発行してくれるはずです。
しかし、中にはたまに領収書を発行できない、ということがあります。
この場合はどうしようもないので、5W1Hでメモをとっておきます。
支払い先、金額、支払った日付、セミナー日付、会場等をまとめておきます。
出金伝票の発行
領収書が発行されなかったり、発行できない場合には、出金伝票を書いておきます。
上記の支払い先、金額、支払った日付、セミナー日付、会場等を記載しておくことであなた自身が支払った金額を忘れたりすることを防げます。
この出金伝票は、100円ショップや文房具売り場、ホームセンター、スーパーマーケットの文房具売り場で売っています。
どこででも購入できるので1セットだけでも揃えておくと便利になります。
支払手数料
銀行振込の際に発生する支払手数料や振込手数料は、支払手数料や雑費として経費処理します。
この手数料部分も処理を忘れてしまうポイントですので確認が必要です。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、事業所得にかかる税金の額を計算して税金を支払うための手続きです。
個人の所得はその年の1月1日から12月31日までの1年間についてをさします。
確定申告書などの必要書類を一式揃えて税務署に申告します。
提出する方によっては、確定申告を行うことで還付金として戻ってくる場合もあります。
確定申告が必要な人
次の方は確定申告を行なって税金を納めます。
・配当所得があった
・不動産所得があった
・山林所得があった
・個人事業主として事業所得があった
・給与所得があった(サラリーマンでも2000万円以上の方)
・退職所得があった
・一時所得があった
・雑所得があった(副業による所得があった)
事業主として確定申告しなかった場合、納めるべき税金に延滞税や加算税がプラスされて納税することになり、普通に税金を納めるよりも納める税金が高くなってしまいます。
先ほど書きましたが、所得とは収入から必要経費を差し引いた金額になります。
後々の不要な手間や費用を考えれば確定申告はしておく必要があります。
延滞税などを支払うことにより、せっかくの所得額が目減りしてしまいます。
確定申告と年末調整について
年末調整は勤め人であれば手続きの経験がありますよね。
会社員であれば給与から天引きされた所得税の過不足の計算から調整する手続きです。
毎月給与から天引きされる所得税は概算での数字ですので生命保険料や保険料などの控除されるべき数字が考えられていません。
それを年末調整で正しい所得税額を計算して追加徴収や還付を行います。
確定申告は、個人で行いますので処理は増えてしまいますが、控除などで節税ができますのでサラリーマンよりはお金の使い方をあなた自身で決めることもできます。
青色申告とは
青色申告は税金が安くなる控除や赤字の繰越で翌年の税金を安く抑えることができたりするなどの優遇措置があります。
優遇措置がありますが、取引を複式簿記で帳簿を作成する必要があります。
特典として、
青色申告特別控除(65万円または10万円)
青色事業専従者給与の必要経費への算入
純損失の繰越
大きなメリットとして、売上から経費を引いた所得から65万円を控除できることが挙げられます。
セミナー費用は経費として処理しますので、さらに控除ができるので税金に回る金額を削減できます。
青色申告は面倒というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、会計ソフトの普及により、簿記の知識がない方でも簡単に処理をすることができるようになりました。使用目的と金額を入力するだけで自動で仕訳して記帳してくれるので大変便利です。
白色申告とは
白色申告とは、青色申告に比べ簡素化できる確定申告の方法です。
賃借対照表が不要であるほか、帳簿も日々の金額を一括で記載します。
ただ、白色申告は青色申告に比べて簡素化されているため、家族への給与を経費にすることや赤字繰越ができないので節税の観点からはよろしくありません。
複式簿記に比べると日々の仕訳の手間がかからないので経理作業の削減による時間の短縮には繋がります。
確定申告の期間
毎年1月1日から12月31日までを期間としています。
確定申告をする期間としては、2月中旬から3月中旬の1ヶ月が申告期間となっているので忘れない様にしたいです。
税務署などからの情報を見忘れない様に注意が必要です。
遠出のついでに個人旅行しても良い?
せっかくその土地に来たなら旅行も兼用
初めて行く土地や地方の人間が都心部に行く場合、仕事のついでに旅行も兼ねたいですよね。
仕事で打ち合わせがあるために1泊2日で行くところを、もう1泊して2泊3日でゆっくりしたいです。
家族と一緒に行くのであれば、1日を家族サービスに振り分けることもできます。
日々忙しい方にとったらセミナーや研修で遠出することはありがたいサービスですよね。
セミナーや研修の記録を残す
セミナーや研修と同時に旅行する場合でも記録を残しておくことが必要です。
旅行との区分けをしておかないと認められない可能性もあります。
この場合でも5W1Hでまとめておくとわかりやすいです。
いつ誰とどこで何をどうしたのかをメモしておくと旅行と仕事の区別がつきやすいです。
交通宿泊費
仕事上で必要であれば認められます。
5W1Hでまとめておけば何かあっても説明できますよね。
同行者いた場合、その方が仕事と関係があるのであれば経費計上して大丈夫です。
家族分はできない?
家族旅行などで仕事とは関係がない場合、個人的な出費になりますので注意が必要です。
家族で旅行する場合、あなた分の航空券などは別で予約して領収書をもらっておけば経費として簡単に計上できます。
仕事上で必要である理由を考えつけば、家族分も経費として計上できるのでしょうが、その判断基準を自分なりに決める必要があります。
一方、家族同伴でなければ参加がよろしくない懇親会やパーティーもあるかもしれません。
他の参加者がご夫婦で参加される場所に一人で参加することは失礼にあたることもあります。
その会合の性質を確認してふさわしい理由があれば、家族の旅費についても参加費用として会計上の処理ができることがあります。
まとめ
セミナーや研修の参加費用は経費で処理します。
売上から経費を差し引いた分に税金がかかってきますので業務上の費用はなるべく漏れなく経費として処理したいですよね。
無理な処理は後々の確定申告の際に指摘されることもありますので、仕事に必要なセミナーや研修だということを説明できるようにする必要があります。
確定申告では、青色申告と白色申告がありますのであなたの経費処理のやり方も考えながら選んでください。それぞれのメリットとデメリットがありますので理解が必要です。
セミナーや研修への参加料金だけではなく、付随する費用を忘れることなくまとめる必要があります。
交通費や宿泊費、会場費用などの必要証憑書類をまとめておく必要があります。
せっかく遠出でセミナーに参加するのであれば、ついでに旅行することも考えられますよね。
その際も仕事上の費用とプライベートでの費用を明確に分けられるように記録しておきます。経費として処理する際に問題になることを防がなくてはなりません。
仕事ではないと判断されないように記録を残しておきましょう。