川嶋諭

株式会社日本ビジネスプレス ファウンダー/編集長

ネットメディアは紙メディアの補完でも付属物でもありません。しかし残念なことに、それらの枠組みを超えて全く新しいメディアに挑戦しようという試みは、今までほとんどありませんでした。
私たちの目的はここにあります。インターネットの特徴を十二分に使いこなしたら、メディアはどう変わるのか、変わるべきなのか。読者とはどんな双方向の関係が築けるのか。それら一つひとつに真剣に取り組み、独自の提案をしていきます。

例えば、地方にある優れた中小企業を探そうとしても、世界的にも珍しいほどの巨大な発行部数を誇る大新聞にはほとんど何も情報が載っていません。探す力がないのではなく、読者が多く発行コストの巨大な紙メディアでは、そうした情報を載せる余地がなかったのです。
同じように、国際情報に対しても実は意外と弱いのが巨大なメディアです。極めて多くの読者を一様に喜ばせなければならないために、比較的ニーズの薄い国際情報は後回しにされているのが実情です。私たちネットメディアは、こうした分野に切り込むことができますし、このように今まで見逃されてきた分野はいくらでもあります。最大公約数的な読者など実はいません。読者のニーズは様々なのです。それに応えられるのは、ネットメディアしかあり得ないと思います。

なぜ日本の地方はミニ東京化してしまったのでしょうか。それは政治のせいだけではありません。
メディアの責任も重大です。東京からの情報を一方的に流すのではなく、地方にある優れた産業や企業、文化を日本全国、あるいは世界に向けて発信する。そして地方同士の切磋琢磨を促す。これはメディアの役割であるはずです。それができれば、地方の疲弊を食い止められるし、日本が世界から忘れられるようなこともないはずです。
私たちはそのお役に立ちたいと思います。

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)で、技術者向けの情報誌、「日経メカニカル」記者として社会人スタート。その後、経済・経営系の情報誌「日経ビジネス」記者となる。日経ビジネスには連続して20年間所属、その間、記者のほか副編集長、シリコンバレー支局長、編集部長、「日経ビジネスオンライン」編集長・発行人、ビジネス局長補佐などを歴任。2008年4月末に同社を退社して起業。同年11月に日本初の新しい独立系WEB経済メディア「JBpress」を設立。