吉川美津子

「いいお墓」さがしセミナー『樹木葬・納骨堂・永代供養墓ってどんなお墓?』

■1996年 葬儀専門人材派遣会社でセレモニースタッフとしてお葬式のお手伝いをはじめる。
■1998年 東証一部上場「公益社」で葬儀施行、営業、セミナー運営等の業務に携わる。
■2001年 大手墓石・仏壇店「はせがわ」の営業スタッフとして活動。
■2002年~2004年 駿台トラベル&ホテル専門学校の葬祭ビジネス学科を運営。
                      プロの葬儀&仏事関連スタッフを育成。
■2002年~2006年 葬儀関連業界誌の取材&執筆協力。
■2003 年~現在 葬儀社起業サポート、コンサルタント業務開始。
■2006年 アルック設立。

葬儀業界に足を踏み入れたのは20代半ばを過ぎた頃。それまでは、ツアーコンダクターとして世界中を旅したり、シンガポールに駐在したり、「地球の歩き方」のライターをしたりと、旅行畑の人間でした。

「ありがとう」という言葉はマジックで、それだけで人を奮起させる力があると感じています。ツアーコンダクター時代、当時小娘だった私はミスをしては落ち込んでの繰り返し。それでも、お客様から「ありがとう」と声をかけられると、俄然やる気が出てしまうのが不思議でした。

葬儀の現場では、この何気ない「ありがとう」の言葉が溢れています。故人への「ありがとう」、参列者への「ありがとう」。そして私達スタッフも、たくさんの「ありがとう」をいただきました。

最初の現場のときのことでした。遺族はご主人を亡くされたばかりのおばあちゃん。当時の私は右も左もわからないド素人、ただお茶を差し上げることしかできません。親戚が到着する前の静かな控え室で、私は普通にお茶を入れ、特別気を遣うわけでもなくおばあちゃんの前に置きました。その瞬間、おばあちゃんの頬に涙がポロポロと伝ったのです。

涙の理由はわかりませんが、もしかしたらお茶を目の前にしたときに、張り詰めていた糸が咄嗟に緩んだのかもしれません……と、私は勝手に解釈しました。「このおばあちゃんに、少しでもお役に立てたら」と思ってはみたものの、何もできない自分が妙に腹立たしくなったものです。

葬儀終了後は、おばあちゃんから「ありがとう」の言葉をいただきました。しかし、私はその言葉を素直に受け止められず、申し訳ない思いでいっぱい。多分そこで、私の中では葬儀業界へ引き込まれていくスイッチが入ったのだと思います。

葬儀・仏事業界では、霊柩車の運転、納棺、司会進行など、葬儀の現場に携わるだけでなく、仏壇・墓石の営業や販売などにも従事しています。営業成績はごく一般的なライン。むしろ失敗の連続でしたが、縁あって専門学校で葬祭ビジネスコースの運営に携わったあたりから、自分の経験をもとに葬儀業界を体系的に考えてみたいと思うようになりました。

現在は、葬儀社・葬儀関連業者向けコンサルティング、研修・教育、各地での講演・セミナー、取材・執筆を中心に活動しています。

2012年、「終活」がユーキャン新語・流行語大賞トップテンにランクインされたこともあって、「終活」「エンディングノート」といったキーワードは非常に盛り上がりを見せています。

私は葬儀や仏事、お墓の現場に直接携わり、多くの方の死を見つめてきた経験を根底に、「終活」「エンディングノート」「葬儀」「お墓」「仏事」などを考えていきたいと思います。