先日、テレビドラマにも数多く出演された
経験のある女優さんと、
お話しする機会がありました。

その方は、
心理技術を駆使して人を助ける活動に、
新たにチャレンジされています。

ご自身が、幼いころから病を抱えながら、
いろんな体験をされてきました。

ご自身の病ゆえに、
人との信頼関係が壊されたりして、
人と何か共同作業をするにしても、
うまく合わせられないのではないか、
といった恐怖をずっと感じてきたそうです。

もっと楽に、開放的に、
人は生きていいんだよということを、
ご自身の経験から、
より多くの人に伝えたいと思われ、
女優業とは違った道を今は歩まれています。

ただ、全く新しいチャレンジなので、
精力的には取り組んでいるものの、
かつてないほど
慎重にもなっているとのことでした。

「今取り組んでいる活動が
落ち着いたらどうするのですか？」

こう私が質問すると、
「私の経験を本にして伝えたい」
という答えでした。

自分の活動を
わかりやすく伝えられる手段として、
出版には興味があるとのこと。

「ただ今は、取り組んでいることだけで精一杯だから、出版はまだ、『できたら』という段階なんです」

「じゃあ、その『できたら』が
『できた』と仮定して話をしましょう」
と私が持ち掛け、
彼女に具体的な出版のプロセスを
思い描いてもらいました。

何から取り組めばいいのか、
どんなことを求められるのか、
どんな人脈が広がるのか、
出版後はどんな活動ができるのか。
そしてその活動は、
どう広がっていきそうなのか。

さすがは女優さんです。

既に出版を進めている
未来の自分になりきって、
次々と未来の自分の姿を
言語化されていきました。

そして、その言語化プロセスの間に
何度も感情が高ぶって
「あれもできるし、これもできる！」
と、どんどん夢が膨らんでいったのです。

ついには出版ができた後の、
海外への展開の話まで
彼女の口から出てきました。

ひとしきり対話をした後で、
改めて彼女はこう言いました。

「なーんだ！ 今取り組んでいることって、
すぐできてしまうじゃん！」と。

初めてのチャレンジで
慎重にならざるを得なかったことが、
その先の未来が具体的に描かれたら、
いとも簡単にできることに変化したのです。

目の前の目標に向かって進んでいるときには、
その目標に集中し、
その目標しか見えなくなる方は多いでしょう。

ぜひ達成したいと思い、
失敗しないよう慎重に取り組むと、
目標に取り組むこと自体が
とても大きなことのように思えます。

しかしその先、あるいはその先の先が
具体的に見えてしまうと、
その目標はただの通過点になるのです。

自分の焦点が
目標の先の先に行ってしまえば、
目標が達成できるかどうかについての、
不安から解放されるのです。

そして、
体と思考はすでにその先に向かっているので、
知らず知らずのうちに行動スピードも上がり、
その結果、
はやく目標を達成できるようになります。

仕事にもこのような人の心理を活用すると、
行動がなかなかできない方にも
一定の効果が見込めますよ。


あなたも
目標達成の先の先に得られるものを、
考えてみませんか？